
デザイナー・西野大士さんが手掛けるパンツ専業ブランド「ニート」。“専業”を謳いながらも、これまでデニムだけは前のめりに作ってこなかった。
理由は単純明快。西野さん曰く「完成型がすでに存在しているから」とのこと。もちろんリーバイスのことである。
今回は、西野さんが所有する古着のリーバイスの中から貴重なモデルを紹介。とまあ、ここまでは普通の流れだが、彼が周囲と一線を画すのは、同じモデルをサイズ違いで複数持っているという点。今回は、パンツ製作のプロフェッショナルならではの独特なこだわりについて深掘りしよう。
紹介してくれたのは……
西野大士(にしの・だいし)●ブルックスブラザーズなどのプレスを経たのち、パンツ専業ブランドのニートを、そして気鋭&実力派ブランドのプロモーションを行う「にしのや」を設立。近年では、韓国や自身の生まれ故郷でもある淡路島へショップをオープンさせ、さらには不定期で行われる古着マーケットも主宰する。
単に質実なモノ作りを続けてきただけじゃないところがキモ
アメカジ、アメトラ、アメリカンスポーツにアメリカンアウトドア。西野さんのファッションの軸には、やはりアメリカがある。
当然、デニムもアメリカが主体。その下地は、若い頃から着々と作られてきた。
「デニムといえば、やはりリーバイスですよね。ヴィンテージ史を語るうえでも、歴史に厚みのあるこのブランドは避けて通れません。当時から、66(ロクロク)前期やら大戦モデルやらが高額で取り引きされていましたから。他ブランドとの格の違いを感じていましたね。実際はリーバイス以外にも素晴らしいブランドはたくさんありますが」。

「リーバイスのデニムはご存知のように、ワークウェアです。長年、労働者たちに親しまれた背景を鑑みると質実剛健なブランドといったイメージですが、時代の流行り物を作ってきた軟派な一面もある。ワークブランドながらファッションにもしっかり情熱を注いできた、業界のパイオニアなんじゃないかと」。
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