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睡眠薬を飲まされるのは女性だけではない

つい数年前のことだが、僕の知人の知人が殺人未遂事件を起こした。その話はかなり痛ましいものだったが、その手口も睡眠薬を使用したものだった。

3人の加害者男性が、被害者男性をバーで詰め、「これを飲まないと帰さない」とかなり強引に睡眠薬入りの酒を飲ませた。被害者は断りきれず、渋々グラスを口にした。飲んだ途端に昏睡状態になった被害者を、男たちは強引にラブホテルへ運んだ。



そしてホテルの一室で、硫酸をかけて男の顔と男性器周りを焼き、重度の火傷を負わせてそのまま放置して帰ったという。被害者が目を覚ますと、顔や陰部がパンパンに腫れていた。猛烈な痛みの中で、自分で消防署に通報したという。
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朦朧とする意識の中で電話をかけた被害者のその精神力は驚くべきものだ。病院に搬送された後は、17日間も意識を失った。

硫黄で溶けた顔の皮膚は元には戻らない。男性器も表面の皮が溶けて痛みで勃起できなくなったし、睾丸も溶けて生殖能力もなくなった。身体だけでなく、心にも深い傷を負っただろう。それだけ酷い怪我をしても、目を覚まさないほど深く眠りについてしまうこともあるのだ。睡眠薬の効果がどれほど強力かが分かる。

実際に薬を混ぜられ、世界がぐにゃりと歪んだ



僕自身もおそらく酒に薬を混ぜられたことがあった。ゴールデン街のバーで飲んでいたときのことだ。1軒目で2〜3杯しか飲んでいなかった。

一旦トイレに行って帰ってきてからも飲み続けていると、突然ぐにゃりと世界が歪んだ。視界がにじみ、壁や天井が波打つように見えた。腰から下がなくなったように感じた。そのうち頭だけでフワフワと浮いているような錯覚に陥った。どう考えても酒の酔い方じゃない。

うろたえて周りを見渡すと、隣の隣の席の客がニヤニヤと笑っていた。何度か会ったことのあった男だが、以前に麻薬の話をしていたことを思い出した。



「薬を混ぜられた!!」と思ったものの、どうしようもなかった。しばらくはフワフワした状態だったが、急に猛烈な吐き気が襲ってきた。慌てて立つが、トイレは使用中だった。

店内は狭く、椅子を引いてもらわなければ外に出られない。周りの客に助けを求めつつ、なんとか外に出た途端に噴水のように吹き出した。自動販売機で水を買って、むりやり胃に流し込んで吐いてを繰り返して、少し気分は良くなった。それでも蒙昧な感覚はなくならなかった。

翌日は味わったことがないくらい激しい二日酔いになった。光を見ると目が痛いくらい眩しくて、頭が割れるように痛い。起き上がることもままならず、水を飲んだら吐いてしまう。何を飲まされたのか分からないが、おそらく合法ドラッグの類いだと思う。



僕の場合はたぶん冗談で入れられたのだろうが、レイプ目的や窃盗目的、リンチ目的でドラッグを入れられることは今でも全然あるのだ。 
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