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それによって、効果がなかったり、効果が限定的なものに手を出すことも防ぐことができ、あなたの大切な時間を無駄にせずに済むはずです。

では、それぞれの結果について、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

問診結果①太陽光不足の近視タイプ
「網膜機能を向上させる取り組み」にたどり着いたあなたは、「太陽光不足」で視力が低下している可能性があります。

眼球の奥には、網膜というシート状に広がる膜があります。そこにある「視細胞」という光を感じる細胞が、視神経を通じて脳に信号を送り、その信号を脳が認識することで、画像が見えています。
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網膜の機能は視覚感受性期に発達し、6~10歳ぐらいまでに決まるとされていますが、それまでに強い光を浴びることで活性化する特徴があります。つまり、人間の体は太陽光を浴びることが前提で設計されているのです。

人の体は、使わない部分に栄養を補給しません。このタイプの方は、しばらく屋外に出ることが少なくなったか、幼少期に屋外活動が少なかったため、視覚機能が落ちてしまったということが考えられます。

日本人の7割以上が該当する「近視」

問診結果②長らく視力矯正をしているタイプ
近視は日本人では一般的で、その割合は年々増え、文部科学省の学校保健統計から類推すると、人口の7割以上が該当するといわれています。近くは見えても遠くが見づらいので、眼鏡やコンタクトレンズが必要なタイプです。

近視にもさまざまなタイプがありますが、眼球の奥行方向が物理的に伸びてしまう「軸性近視」が一番多い症状です。小学生のころは視力がよかったけれど、中学生や高校生の成長期に視力矯正をするようになって、その後ずっと矯正している、という人の多くはこのタイプです。

問診結果③急に視力が落ちたタイプ
急に視力が落ちるのには、さまざまな原因が考えられます。視力が悪くなる原因は、多くの場合「光の屈折」「網膜」「視神経」「脳」のいずれかの機能が悪くなることですが、コンタクトレンズや眼鏡の度数を変えてよく見えるようなら、大人になってから眼軸の伸びが進行する成人進行近視かもしれません。

生活習慣や食生活の乱れは、目に栄養を届ける血液にも影響し、やがて網膜や視神経の機能に問題が生じます。ですので、食事などの生活習慣や、運動が大切になってきます。

また、このタイプの人は、ストレスで脳機能が低下している可能性もあります。「脳疲労」という言葉もありますが、デジタル化社会で処理しきれないほどの情報の波にのまれ、脳が疲労していると、視覚情報の処理もうまくいかず、視力が低下することがオーストラリア健康イノベーション研究所のメタ解析により証明されています。
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問診結果④老眼タイプ
老眼は、近くを見るときにピントが合わなくなる症状です。本やスマホを顔から離したほうが見やすく感じる方は、これにあたります。

老眼の原因は、水晶体と毛様体筋にあります。近くを見るときは眼球内にある毛様体筋という筋肉が水晶体を変形させて光の屈折を変え、近くの物体にピントを合わせています。しかし、年齢とともに水晶体が硬くなり、毛様体筋も弱くなってくると、近くにピントを合わせにくくなるのです。

老眼の進行状況は、近くのものを見るときの「近点」を測定することで把握できます。近点とはピントの合う最短距離で、若いうちは10センチ以内など非常に近距離でも見えますが、年齢を重ねると調整力が減り、ピントが合う距離が遠くなってきます。

近点は40歳で25センチ、45歳で33センチと、40歳を過ぎると近くのものが見えにくいということを感じ始める方が多くなってきます。さらに年を重ねて近点の距離が40センチを超えると、老眼鏡がないと不便になります。
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なお、タイプを見ると重複して該当するものもあるかもしれませんが、このチャートで出た結果はあくまでも優先的に対策をすべきもの、とお考えください。

目の健康維持に有効な「生活習慣の改善」

ではここからは、チャートで判明したタイプ別の対処法をご紹介します。

対処法①太陽光不足の近視タイプ:視力改善ランニング
健康を維持する方法の代表格とでも言うべき「ランニング」ですが、視力改善用にアレンジしたこのランニングで効果を得るポイントは、走り方ではなく「回数」と時間です。

2023年に行われたトンブリー大学の研究によると、視力の弱い学生80人が24週にわたりランニングなどの運動を定期的に行ったところ、視力の向上が見られたというのです。また、『運動脳』などの著書で知られるアンデシュ・ハンセン氏も、定期的なランニングにより、脳機能を向上させることを推奨しています。

たとえば初心者であれば、1回20分、週3日以上のランニングが効果的です。ルームランナーなどの室内トレーニング器具を使うことも有効ですが、一番いいのは外へ出て、1回20分ほどのランニングを行うことです。

(出所:『最新の視力研究で導き出した 何歳からでも目がよくなる方法』より)

(出所:『最新の視力研究で導き出した 何歳からでも目がよくなる方法』より)


なぜなら、外でのランニングによって、太陽光を浴びることができ、同時に脳にある視覚野が強化され、視力が改善にむかう作用が働くからです。また、ランニングにより網膜や脈絡膜などの血行が促進され、酸素がいきわたることにより、受光や視覚の信号伝達が改善されて、視力アップが期待できるでしょう。

対処法②長らく視力矯正をしているタイプ:40センチルール
長年、研究者をやっていると、かならず英語の学術論文を読む必要が出てきます。それも大量に読まなければならないので、長期にわたり読み込んでいるうちに視力を落とす仲間を数多くみてきました。
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