① 薬膳が香る“最古の一杯”「アジャンタインドカリ店」

スープカレーのパイオニアといえば、名付け親である「マジックスパイス」ですが、最古のお店と聞かれたら「アジャンタインドカリ店」です。
喫茶店として1971年に創業した老舗で、当初はインドルーツのスパイス料理と漢方を融合した、スープスタイルの「薬膳カリィ」を提供していました。
1975年頃からカレー店の暖簾を掲げているとあって、後進のスープカレーシェフたちは皆、アジャンタの味を通ってきているはず。
まさに“札幌スープカレーの源流”と呼ぶべきお店です。
もともとご夫妻で運営されていましたが、2001年の離婚を機に「アジャンタインドカリ店」の看板は妻の南 美智子さんが受け継ぎ、現在は新店主が伝統の味を守り抜いています。
1971年に喫茶店としてスタート。当時のアットホームな面影が現在も残る店内。
1975年頃に「薬膳カリィ」が誕生し、店の看板も現在の形に。
札幌スープカレーの“根っこ”を味わうなら、ぜひ「とりカリ」をオーダーしてください。およそ50年前に完成したという、ベーシックにして究極の一杯です。
「とりカリ」1400円。液面のテカりは、味の決め手となるマサラオイルによるもの。
スープカレー界で近年流行りの「どんぶり」「盛りだくさんの野菜」「鶏白湯やトマト、豆乳などの多種多様なアレンジ」は一切なし。
浅いお皿に注がれたスープには、人参、ジャガイモ、ピーマン、そしてとびきり大きなチキンレッグが浸かっています。
なんともシンプル、しかし鼻孔をくすぐるカルダモンなどの確かな香りが、「薬膳カリィ」として始まった本格的な味わいを予感させます。
口に運ぶと、ほんのり苦くて香ばしい。そして、こっくりとオイリーなのに、しつこい脂っぽさは皆無。秘伝の「マサラオイル」が醸し出す独特の美味しさに虜になること必至です。
古典派の風格が漂う本店はもちろんマストで訪れるべきですが、伊豆長岡の支店もおすすめです。
温泉宿に併設されていて、湯で体を外から温め、スープカレーで内からも温める……と「ダブルでととのう」体験ができちゃいます。
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