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バンコクオートサロンについて

2024年6月に開催されたバンコクオートサロン2024の様子(筆者撮影)

2024年6月に開催されたバンコクオートサロン2024の様子(筆者撮影)


バンコクオートサロンは、2012年に初開催され、コロナ禍の期間を除いて、毎年開催されている東南アジア最大級のカスタムカーショーだ。

日本の東京オートサロンと同様、ホンダやトヨタ、マツダ、いすゞなどの自動車メーカーをはじめ、現地のカスタマイズメーカー・ショップなど約100社が参加し、400台以上の車両が展示される。ちなみに11回目となる今年も8月27日~31日の5日間の日程で開催されることが決定している。

日本未発売となる、いすゞのピックアップトラック「D-MAX」をベースにカスタマイズした車両。タイでは、日本ではあまり見ないピックアップトラックの改造が非常に多い(筆者撮影)

日本未発売となる、いすゞのピックアップトラック「D-MAX」をベースにカスタマイズした車両。タイでは、日本ではあまり見ないピックアップトラックの改造が非常に多い(筆者撮影)


特徴としては、日本車をベースにしたカスタムカーが主体ではあるが、タイではトヨタ「ハイラックス」やいすゞ「D-MAX」などのピックアップトラックの人気が高く、そういった車種の出展が多いことだ。

さらに現地ではドラッグレース(約400mの直線をいかに走り抜けるかを競うレース)が人気で、首都バンコク近郊には専用コースがある。そのためか、エンジンを改造してハイパワーに仕上げたマシンも多く展示されている。
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マレーシアオートサロンについて

2024年11月に開催されたマレーシアオートサロン2024の会場(筆者撮影)

2024年11月に開催されたマレーシアオートサロン2024の会場(筆者撮影)


一方のマレーシアオートサロンは、2023年からスタートした、比較的歴史の浅いイベント。初開催となった第1回では3日間でのべ9万人を超える来場を記録し、入場待ちで長蛇の列ができるほど大盛況だった。第3回となる今年は、8月8~10日の3日間で開催が決定している。

マレーシアオートサロンの特徴は、東京やバンコクに比べると規模は小さく、自動車メーカー主体の2つに比べ、地元のショップやユーザーカーの展示が中心という違いがある。

マレーシアオートサロンでは、限定ミニカーなども販売され、それを目当てに開場と同時にダッシュする姿が印象的だ(筆者撮影)

マレーシアオートサロンでは、限定ミニカーなども販売され、それを目当てに開場と同時にダッシュする姿が印象的だ(筆者撮影)


また、タイやマレーシアで開催されているオートサロンには、近年ではビジネスチャンスと捉え、日本のアフターパーツメーカーも積極的に参加している。

昨年開催された東京オートサロン・クアラルンプール2024には、総合アフターパーツメーカーの「HKS」や「トラスト」をはじめ、エンジンパーツメーカーの「東名パワード」、駆動系メーカーの「OS技研」、エアロパーツを中心に展開している「クール」、そのほかチューニングショップの「トップシークレット」などが参加し、各社ともに代表が現地入りするなど気合が入っていた。

HKSがマレーシアオートサロンに展示した日産GT-Rのコンプリートカー(筆者撮影)

HKSがマレーシアオートサロンに展示した日産GT-Rのコンプリートカー(筆者撮影)


例えば、HKSは、東京オートサロン2024で発表した車両販売事業「THE HKS」のプロモーションとして、日産「GT-R」をベースにしたコンプリートカー「THE HKS GT-R R35 MY24 NISMO Dimension:Z」を展示。ちなみに車両価格は日本円で1億1000万円という設定だが、会場では多くの相談を受けていた。

クールホールディングス代表の片岡さんと、マレーシアオートサロンに出展した日産GT-Rのカスタマイズ仕様(筆者撮影)

クールホールディングス代表の片岡さんと、マレーシアオートサロンに出展した日産GT-Rのカスタマイズ仕様(筆者撮影)


また、オリジナルのワイドボディキットを装着したR35型GT-Rを展示していた、クールホールディングス代表の片岡さんにも話を聞くと、「東南アジアでも事業展開していますが、とくにマレーシアは好調です。トヨタの『アルファード/ヴェルファイア』の人気が高く、現地代理店の協力もあり、それらの車種向けとなるホイールやエアロがよく売れています。

最初はホイールが人気になり、その後にエアロパーツに注目が集まるようになった印象ですね。マレーシアは、クルマをかっこよく仕上げるドレスアップの人気が高いので、メイドインジャパンのエアロパーツなども積極的に展開していきたいですね!」と語ってくれた。そんな片岡さんは、メインステージでのトークショーにも参加したが、その人気がすさまじかったのも印象的だった。

マレーシアの現地でカスタマイズされたアルファード/ヴェルファイアもたくさん展示されていた。クールのホイールやエアロが装着されていた(筆者撮影)

マレーシアの現地でカスタマイズされたアルファード/ヴェルファイアもたくさん展示されていた。クールのホイールやエアロが装着されていた(筆者撮影)


ちなみにマレーシアでアルファードの新車価格は54万8000リンギットなので日本円で約1915万円、ヴェルファイアは44万8000リンギットなので約1565万円と非常に高価。さらにオプション装備や諸経費を含めれば、乗り出し価格は2000万円を超えることもあるだろう。

日本でいえば、スーパーカーも手に入る価格設定だ。そんな高級車といえるアルファード/ヴェルファイアが街中でたくさん走っており、人気の高さはもちろん、富裕層の多さにも驚かされた。そこに日本のアフターパーツメーカーがビジネスチャンスを感じるのもうなずける。

日本に似ている?マレーシアのクルマ事情

日本文化を全面に押し出したマレーシアオートサロンの雰囲気(筆者撮影)

日本文化を全面に押し出したマレーシアオートサロンの雰囲気(筆者撮影)


また、マレーシアは東南アジアでは珍しく、「プロトン」と「プロドゥア」という国産自動車メーカーを有する国でもある。そのため、街中ではプロトンとプロドゥアのクルマが多く走っているのだが、実はこの2メーカー、日本との関係も非常に深いのだ。

まず、プロトンは、1980年代に当時の首相マハティール氏が国産車構想を掲げ、1983年に政府のバックアップを受け、三菱自動車/マレーシア重工業公社/三菱商事の3社合併会社として設立。1985年に「ランサーフィオーレ」をベースに第1弾モデル「サーガ」を発売している。一方のプロドゥアは、1993年に設立されたマレーシア第2の国産車メーカーで、こちらはダイハツと協業。そんなプロドゥアから販売されているモデルの多くは、ダイハツ車の姉妹車となっている。

日本でも人気のトヨタ「ハイエース」だが、マレーシアオートサロンでもカスタマイズ仕様が非常に多かった(筆者撮影)

日本でも人気のトヨタ「ハイエース」だが、マレーシアオートサロンでもカスタマイズ仕様が非常に多かった(筆者撮影)


そのため、街中を見ていると、三菱の「ランサー」や「ミラージュ」などをベースにしたプロトン車、またダイハツの「ミラ」などをベースにしたプロドゥア車など、日本車と見間違いそうなマレーシア国産車に出会うことが多い。日本車をベースにしたクルマが多いので、そういった意味でも日本のアフターパーツメーカーが受け入れられる土壌はあるのではないかと感じた。

そのほか、日本の自動車メーカーではホンダが強く、マレーシアオートサロンの会場内はもちろん、街中でも「シビック」をたくさん見かけた。さらに出展していた日本の企業関係者からは、シビック用のパーツなどの相談が非常に多かったという話もよく聞いた。
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海外では珍しい軽自動車文化

軽トラックをベースにしたカスタムをはじめ、軽自動車も非常に多かった(筆者撮影)

軽トラックをベースにしたカスタムをはじめ、軽自動車も非常に多かった(筆者撮影)


また、マレーシアの自動車文化で面白いところが、軽自動車を見かけることが多いことだ。というのもダイハツと資本関係のあるプロドゥアがミラをベースにした「アジア」「ベザ」「カンチル」、ムーブをベースにした「クナリ」などを販売していたことがあり、見た目がそっくりなクルマが街中を走っているのだ。

そこから日本の軽自動車に興味を持ち、わざわざ輸入する愛好家も多いそうだ。実際にマレーシアオートサロンの会場では、ダイハツのミラや「タント」、軽トラの「ハイゼット」、そのほかホンダの「N-BOX」や「S660」なども展示されていた。

そういった面でもマレーシアと日本の改造車文化は親和性が高いのかもしれない。また、少し景気が失速気味の隣国タイに比べて、マレーシアは比較的堅調で、クルマ好きの富裕層も多い。

日本では、さまざまな規制強化やスポーツカーの高騰、先行き不安な景気なども含め、趣味性の高い改造車を取り巻く環境はきびしいというのが現実だ。そのため、アフターパーツメーカーも苦戦が強いられている。そんな中で東南アジア、とりわけマレーシアのマーケットに活路を見いだしているのだろう。
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隣国のタイと比較して、まだマレーシアの改造車文化は本格の成長前段階ということもあるかもしれない。ただ、最近はタイやマレーシアのほか、インドネシアやフィリピンなどの東南アジア各国でも日本の改造車をテーマにしたイベントが開催されているので、その広がりや成長にも期待したい。


三木宏章=文
東洋経済オンライン=記事提供

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