PATINA & VENEZIA LEATHER —パティーヌ&ヴェネチアレザー—

ビスポークとともに欠かせないのが極上のレザー素材と美しい仕上げの技法だ。

日常をともに過ごし、深まる愛着と味わいに比類なきクラフツマンシップが息づく。



ベルルッティの逸話でも広く知られるのが「クラブスワン」だ。ベルルッティ愛好家がそれぞれ靴を持ち寄り、4代目当主であるオルガ・ベルルッティの教えの下、グレージングに勤しむ。

やがて水の一滴だけで鏡のような光沢と艶が生まれ、ときにはシャンパンの一滴が用いられた。

社交クラブの名は、マルセル・プルーストの小説に登場する紳士にちなみ、事実プルースト自身もベルルッティの靴をこよなく愛したといわれる。

職人の手仕事によって生み出される美しきパティーヌ。配合のレシピは200程存在し、グラデーションの加減も自由自在。色彩の可能性は無限に広がる。

レザーに魅せられ、深遠なる魅力を追求したオルガが発明した技術がパティーヌだ。顔料とワックスを何層にも塗り重ねることで、特有の深みと奥行きを生み出す。当然、それはひとつとして同じものはない。

しかしこの技法の実現には、完璧なレザーが不可欠でもあった。そこで開発されたのがヴェネチアレザーと呼ばれるフルグレインレザーだ。

ロール状のヴェネチアレザー。皮革産業で栄えるイタリア・フェラーラに工房を構える。

稀少な皮革を用い、門外不出の製法で生産する。自然が育んだ最高品質の天然素材が、ベルルッティのクラフツマンシップによってさらに輝きを増すのである。