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2025.02.26

ファッション

ビスポーク、レザー、マスターピース。3つのクラフツマンシップから紐解く「ベルルッティ」の神髄

1895年、靴職人を目指し、イタリアからパリにわたった若きアレッサンドロ・ベルルッティがメゾン・ベルルッティを創業した。写真は彼が手掛けたベルルッティ最初の靴「アレッサンドロ」。1枚革によるシームレスなスタイルで評判を呼び、名声は高まった。まさにブランドのクラフツマンシップの象徴である。

1895年、靴職人を目指し、イタリアからパリにわたった若きアレッサンドロ・ベルルッティがメゾン・ベルルッティを創業した。写真は彼が手掛けたベルルッティ最初の靴「アレッサンドロ」。1枚革によるシームレスなスタイルで評判を呼び、名声は高まった。まさにブランドのクラフツマンシップの象徴である。


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作り手の独りよがりとは異なり、身に着ける人を思い、満足してもらおうという真摯な情熱。ベルルッティにはそんな崇高なクラフツマンシップが宿る。

それは過美や豪奢だけではない、ラグジュアリーのあるべき姿。

ここではベルルッティの神髄たる独自のクラフツマンシップを、3つのチャプターから明らかにしていく。
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BESPOKE —ビスポーク—

用意された設計図はない。ビスポークシューズで重要なのは顧客が何を求めているかを理解すること。そのために会話を重ねる。

培った技術と熟練の手仕事が理想の靴を作り上げていく。

シデの木材から巨大な粗削りナイフでおおまかなフォルムを削り出す。

シデの木材から巨大な粗削りナイフでおおまかなフォルムを削り出す。


この一足にどんな思いを馳せているのだろう。ベルルッティの職人は考える。スタイルや用途、履き心地。満たすべき要件は多岐にわたる。だからこそ1時間以上の時間をかけ、顧客の話を聞くという。

普段歩く距離やフィット感の好み、どんなファッションに合わせるか、さらには飛行機に乗る頻度まで。

組み立てに使う道具の一部。年季の入った一つひとつが、靴職人の手仕事を支える。

組み立てに使う道具の一部。年季の入った一つひとつが、靴職人の手仕事を支える。


技術的にはどんな靴でも作る自信はある。だがそれが本当に求めているものか。本人も気付かぬ意識の深層をたぐり寄せ、それをカタチにするために技術のすべてを注ぐ。

数週間後の試作品のフィッティングもその通過点にすぎない。そして誕生までには9カ月、50時間の作業が必要になることもある。

木型はナイフで粗削りをしたあと、採寸に合わせてやすりを使って細部を削っていく。

木型はナイフで粗削りをしたあと、採寸に合わせてやすりを使って細部を削っていく。


しかしそれでも終わりではない。足を入れ、かつてウィンザー公爵から伝授された独自のベルルッティ結びで初めて完成するのだ。その期待をはるかに超えた仕上がりに作り手の声が静かに伝わることだろう。

つり込みと呼ばれる工程では、縫製したアッパーを木型に被せて仮止めをしていく。高品質なビスポークシューズは作り手の確かな技量と豊富な経験の賜物なのだ。

つり込みと呼ばれる工程では、縫製したアッパーを木型に被せて仮止めをしていく。高品質なビスポークシューズは作り手の確かな技量と豊富な経験の賜物なのだ。


これこそがベルルッティが創業時からこだわり続けるビスポークの正体。当然、ビスポークで培われた技術と知見はレディトゥウォーク(既製品)にも注がれるのだ。
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