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最新のハチロクに宿った90年代セリカGT-FOURの魂

トヨタ「GR86ラリー レガシーコンセプト」。ベースは現行型GR86。

トヨタ「GR86ラリー レガシーコンセプト」。ベースは現行型GR86。


一方、北米トヨタが出展したのは、現行型GR86をベースにした「GR86ラリー レガシーコンセプト」。

単なる“見た目だけ”ではなく、かつてWRC(世界ラリー選手権)で活躍した90年代セリカGT-FOURの魂を受け継ぐ、本気のカスタムカーだ。



というのもこの車、FR(フロントエンジン・リアドライブ)のGR86を、セリカGT-FOUR同様4WD化し、エンジンを載せ替えたカスタムカーなのだ。
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このエンジンと4WDシステムは2023年に発売が始まったGRカローラのもの。特にエンジンは、匠が一つひとつ組み立てるレーシングエンジンだ。

フロントの先に4灯ランプが付くのが90年代セリカGT-FOUR(ST185型とST205型の2台)の特徴。

フロントの先に4灯ランプが付くのが90年代セリカGT-FOUR(ST185型とST205型の2台)の特徴。


4WD化やエンジンの載せ替えなんて面倒なことをやるなら、最初からGRカローラのエクステリアだけ90年代セリカGT-FOUR風にしちゃえばいいのに、ここはハッチバックのカローラでは役不足だったようだ。

実は2025年にWRCがアメリカでも開催される可能性がある。ヨーロッパが主戦場のラリーは、正直アメリカでは人気が今一つだが、これを機に人気が高まることも十分考えられる。

シャシー(車の骨格)に手を加えなければならないほど、4WD化とエンジンの載せ替えは困難を極めたそう。

シャシー(車の骨格)に手を加えなければならないほど、4WD化とエンジンの載せ替えは困難を極めたそう。


それに先んじて、WRC=トヨタをアメリカ国民に印象づけるには、90年代セリカGT-FOURはまさにはまり役というわけだ。ところが現在セリカは生産されていないため、トヨタのスポーツカーを象徴するGR86に白羽の矢が立ったのだろう。

それほどトヨタにとって、90年代セリカGT-FOUR は特別な存在。1993年にトヨタに初めてマニュファクチャラー選手権(WRCでのメーカー別年間ランキング)のタイトルを届けたのは、セリカGT-FOURなのだから。

ST185型とST205型のセリカGT-FORと同じカラーリングでボディが飾られている。

ST185型とST205型のセリカGT-FORと同じカラーリングでボディが飾られている。


トヨタにとって特別なセリカは、我々にとっても忘れがたい憧れのスポーツカー。そういえば2年ほど前にWRCの会場で、豊田章男会長がセリカを復活させたいって言ってたな。

映画『私をスキーに連れてって』に登場したセリカ(ST165型)の、次の世代がST185型で、その次がST205型。ちょうどこの2世代の端境期にトヨタは黄金期を築いた。

映画『私をスキーに連れてって』に登場したセリカ(ST165型)の、次の世代がST185型で、その次がST205型。ちょうどこの2世代の端境期にトヨタは黄金期を築いた。


それに先日の東京オートサロン(カスタムカーの祭典)で、件の90年代セリカGT-FOUR(ST185型)がデモランしてたし。もしかして、本当に再び我々の目の前に現れる日がやってくる? 章男さん、おなしゃす!

籠島康弘=文

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