「地動説」に魅了された12歳少年の名言

物語序盤の主人公はラファウ。12歳の神童ですね。彼は神学を学ぶため進学する予定だったんだけど、フベルトっていう異端者に出会ったことで「地動説」の美しさに魅了されます。
フベルトは異端者として捕まっていたのですが、ある日「改心しました」って嘘をついて釈放されて、ラファウを天体観測に誘う。結果、ラファウは地動説に魅了され、フベルトの残した研究資料を引き継ぎ、真理を追究する決意をするんですよね。
ラファウもその後、異端者であることがバレて捕まるんですけど、拷問の前に自殺しちゃうんですよ。自らワインに毒を盛って。

異端審問官のノヴァクっていう、超重要な登場人物との最後のシーン。ここのラファウのセリフは印象に残ってますね。
ノヴァク これは“自殺”だぞ! 教えに反してる! ど、どこまでC教をコケにするんだ! 死の先に恐ろしい運命が待っているぞ―――
ラファウ 死の先なんか誰も知りませんよ。
ソクラテス曰く、「誰も死を味わってないのに誰もが最大の悪であるかのように決めつける」
エピクロス曰く、「我和のある所に死はない 死のある所に我々はない」
セネカ曰く、「生は適切に活用すれば十分に長い」
僕はその全てに賛成です。
ノヴァク すっ、全て二千年近くも前の異教徒の言葉だろ! 救世主が誕生する前の暗愚な連中だ! 奴等には絶対神も救いもない! そんな言葉がなんになる!
ラファウ 感動できる。
ノヴァク か……ん、
ラファウ フベルトさんは死んで消えた。でもあの人のくれた感動は今も消えない。多分、感動は寿命の長さより大切なものだと思う。――だからこの場は、僕の命にかえてでも、この感動を生き残らす。
ノヴァク ……し、正気じゃない。
ラファウ ?
ノヴァク 訳もわからん物に熱中して命すら投げる。そんな状態を“狂気”と言うとは思わないのか!?
ラファウ 確かに。
でもそんなものを、“愛”とも言えそうです。
3/5