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駅弁大会は新年の風物詩

会期中の京王百貨店新宿店。駅弁大会の告知は大々的だ。(写真:筆者撮影)

会期中の京王百貨店新宿店。駅弁大会の告知は大々的だ。(写真:筆者撮影)


「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」会期中は大勢の来客で賑わう(写真:筆者撮影)

「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」会期中は大勢の来客で賑わう(写真:筆者撮影)


「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」は毎年1月に京王百貨店新宿店で開催され、全国から50社近い調製元(駅弁屋さん)が集結する。いつもは地方でしか買えない駅弁が開催期間中には新宿で買えるとあって、年ごとに訪れるファンも増えている。1日5万~8万人という新宿店の来客数が、例年2~3割も増加するとされる。

その中で、「いかめし」実演ブースは、新宿店7階の会場を正面から入ってまっすぐ奥が長年の定位置だ。ブースのまわりは「いかめし」を煮る甘辛い醤油ダレの匂いに包まれ、通りがかった来店客はつい足を止め、購入の待機列に次々と並ぶ。

ブース内で多量のイカをさばいている(写真:筆者撮影)

ブース内で多量のイカをさばいている(写真:筆者撮影)


実演ブースは大迫力

奥行き5mほどのブースの奥では、仕込み担当の方が、下処理を終えたスルメイカを掴んで胴体に口金を差し込み、生米を注ぎ入れて爪楊枝で留めて……「あぁいいよ、撮って撮って!」と仰る4~5秒の間に一連の作業を終わらせて1個を完成、次のイカをもう手に取っている。

その眼の前では、直径60~70㎝はあろうかという大鍋が6個も並び、醤油ダレで「いかめし」を一斉に煮ている。調理を担当されている方によると、「いかめし」の味付けに正解はなく、担当者が細かく味をチェックした上で微調整を繰り返して仕上げているとのこと。
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そう言っている間に、完成した「いかめし」が大鍋からバットに移され、箱への移し替えが始まる。一瞬でまわりが「いかめし」のいい匂いに包まれ、購入待ちの列はまた延びた。

製造を担う「いかめし阿部商店」によると「京王百貨店での実演ブースの生産能力は通常の6倍はある」というが、それでもレジ前の列は途絶えない。

こうして1日6000個が売れていく「いかめし」だが、よく購入されるファンの方に伺うと、その魅力は「同じものがない」ことだという。イカは煮ると身が縮むため形も毎回違い、大鍋で煮るために味の染み方も違ってくる。

さらに、小ぶりなものは通常の2個からプラス1個で3個入っている場合も。手作りならではの味の違いを楽しめるからこそ、森駅の「いかめし」は50年以上も支持を得ているのだ。

森駅弁「いかめし」。2025年が第60回大会記念で復刻掛紙を使用している(写真:筆者撮影)

森駅弁「いかめし」。2025年が第60回大会記念で復刻掛紙を使用している(写真:筆者撮影)

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