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人生の優先順位が変わっていった 

2023年の年末に退職してから、およそ1年。この期間を通して、だんだんと人生における優先順位が変わっていった。 

これまで加藤さんは、がむしゃらに働いてきた。その甲斐あって、収入もキャリアも上昇してきた。しかし、キャリアブレイクの期間を過ごすうちに、ライスワーク(お金を稼ぐための仕事)の比重の大きい生活に違和感を感じるようになっていったのだという。 
「人生は有限だからこそ、ライスワークだけで人生を埋めてしまうのは違うなと。例えば、子どもが『やりたい』と目を輝かせてることに付き合うことのほうが、今は優先度が高い。たとえ収入が減ったとしても、その時間は守りたいんです」 
今は子どもとの時間が優先事項だが、もしかしたら今後、両親のサポートが必要になるかもしれない。夫婦での時間が今より必要になるかもしれない。自分自身へのケアが必要になるかもしれない。だからこそ、「家族の時間をつくるための余白は、常に残していきたい」と、加藤さんは考えるようになった。 

だから、キャリアブレイクの期間を終えたとしても、フルタイムで働くことはなさそうだという。お金を稼ぐための仕事を週2.5日くらいで行い、残りの時間はやりたいことをするような働き方を今後も続けるかもしれない、と考えている。 

(撮影:山中散歩)

(撮影:山中散歩)


そうした人生を実現するために、加藤さんは戦略的に動いている。キャリアブレイクのもうひとつのテーマとして、「自分の価値を提供できる分野を見出す」こと、言い換えれば「レッドオーシャンを避け、ブルーオーシャンを見つける」ことを意識し、行動してきたのだ。 
「レッドオーシャンで戦うと、過当競争が起こり、そこで自分の価値を出すことが難しくなる。労力をかけずに自分の価値を出して稼ぐことができる分野を見つけることで、無理せず働いていきたいと思っているんです」 
ブルーオーシャンを見つけるために、仕事や家族との時間のあいまに、今後のキャリアの「種まき」となる活動も行ってきた。例えば、興味がある分野の業務に単発で取り組んでみたり、イベントに足を運んだりしているらしい。 

その結果、加藤さんは「地方の行政広報」という分野に可能性を見出しつつある。 
「都庁を退職した後、全国各地の自治体の広報研修に関わる機会をいただいたことを通して、『地方では、広報の担い手が圧倒的に足りてない』と感じました。であれば、僕が役に立てることもあるんじゃないかな、と」 
まだ明確に意思決定をしたわけではないが、地方の行政広報に関わりながら働く選択肢にどのようなものがあるか、加藤さんは考え始めている。 


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