まず、味についてのトレンドではないが、今後は、間借り営業で着実に地力を蓄えてから、満を持して独立開業するラーメン店が、より一層増えるのではないかと予想する。
数度の間借り営業ののちに独立開業した「中華そば 鴨福」の「中華そば 醤油」。
これは記憶に新しいところだが、2024年は、ラーメン業界にも、原材料費、光熱水料、人件費等の高騰の波が押し寄せ、ほとんどのラーメン店が、販売価格の大幅値上げを余儀なくされた。少し前までは、ラーメンには1000円の壁があると言われていたが、それも遠い昔の話。
今では1000円超えのラーメンなど珍しくも何ともない状況だ。これは都内の状況だが、現在、最もベーシックなラーメンの平均価格は950円前後といったところ。800円台でラーメンが食べられる店は、殆どなくなってしまった。統計的な裏付けはないが、ラーメンの価格は、2023、24年の2年で100円は上がったというのが実感だ。
前置きが長くなったが、ラーメンの価格帯がリーズナブルでなくなると、食べる側は当然、ラーメンにクオリティ(=味の良さ)をシビアに求め始める。高いお金を払うのだから、美味くて当然ということだ。そうなると、提供する側も、初期投資を抑えるなど、可能な限り冒険を避けようと考えるようになる。
その結果、増えたのが「間借りからの独立」だ。ほかの飲食店等の間借りであれば出費が相当程度抑えられ、リスクは独立開業よりもグッと下がる。原材料費等の諸経費の上昇は、当面の間収まる気配はない。間借りからの独立傾向は、当面の間、続くことだろう。
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