メグロS1とW230の外観・装備
筆者がメディア向け試乗会で乗ったメグロS1とW230(筆者撮影)
メグロS1とW230は、いずれも低回転域から扱いやすい232cc・空冷単気筒エンジンを、軽量なセミダブルクレードルフレームに搭載する兄弟車だ。メグロS1は「メグロ」、W230は「W(ダブル)」と、いずれもカワサキの伝統を受け継ぐブランドの最新作として登場した。
美しい造形の空冷フィンを持つエンジン、クラシカルなティアドロップ型の燃料タンク、前18インチ/後17インチのワイヤースポークホイール、丸目1灯ヘッドライトなど、各部にビンテージ感溢れる装備を採用している点は共通。それらに加え、それぞれのブランドを象徴するエンブレムなど、細部に違うギミックを加えることで差別化を図っている。
W230のタンク(筆者撮影)
例えば、メグロS1の燃料タンクには、クロームメッキとブラックのツートンカラーに、「MEGURO」の車名ロゴを入れたオリジナルの立体エンブレムを装備する。対するW230の燃料タンクには、「W」のロゴ入り立体エンブレムを採用する。
また、メグロS1では、エンジンの空冷フィンにも切削加工を施すことで、光が当たると輝く工夫も実施。加えて、サイドカバーや2連メーター内などには、レトロなカタカナ書体の「メグロ」ロゴも入れるなど、細部に質感を高める数多くのギミックが施されている。
そうした装備の違いからか、価格(税込み)は、W230が64万3500円なのに対し、メグロS1は72万500円と7万7000円高い設定だ。つまり、メグロS1は、よりクオリティを高めた仕様ということになる。一方、W230には、パールアイボリー×エボニーやメタリックオーシャンブルー×エボニーという、お洒落なボディカラーを採用。よりフレンドリーな印象の車体色などは、女性ライダーにも人気が出そうな印象さえある。
メグロS1とW230の歴史的背景
カタカナ文字の「メグロ」ロゴ(筆者撮影)
ちなみに両モデルは、カワサキの伝統などを受け継ぐブランドに属することは前述のとおりだが、具体的にそれぞれのエピソードについても少し紹介しよう。
まず、メグロS1のブランドであるメグロ。これは、かつて存在した2輪車メーカー「目黒製作所」の名称を受け継ぐブランドだ。
1924年に創業した目黒製作所は、第2次世界大戦前から戦後直後にかけて、数多くの高性能モデルをリリースし、一世を風靡した企業。とくに500ccや650ccなどの大排気量モデルに定評があったのだが、1950年代後半以降、小排気量モデルの人気上昇に対応できず、業績が悪化。1964年にはカワサキ(当時の川崎航空機工業)に吸収合併された。
1964年発売の250メグロSG(写真:カワサキモータースジャパン)
そして、今回発表されたメグロS1は、合併後の1964年に発売された「250メグロSG」をオマージュしたバイク。カワサキも、このモデルを「正統な後継車」と発表しているから、まさに昭和のモデルを復刻させた最新のオートバイがメグロS1だといえる。
兄貴分となるメグロK3(写真:カワサキモータースジャパン)
ちなみに、カワサキは、以前から773cc・空冷2気筒エンジンを搭載する「メグロK3」を販売している。そのため、メグロS1は、その弟分で、メグロ・シリーズに属する軽二輪タイプという位置付けとなる。
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