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カワサキW1の系譜となるW230

1966年発売の650-W1(写真:カワサキモータースジャパン)

1966年発売の650-W1(写真:カワサキモータースジャパン)


一方、W230は、カワサキが1966年に発売した「650-W1」、通称「W1(ダブワン)」の車名を冠したモデルの系譜となる。624cc・並列2気筒、バーチカルツインの愛称を持つエンジンを搭載したこのモデルは、当時のバイクとしてはかなり高性能だったこともあり世界的に大ヒットを記録。「大排気量の高性能モデル」という、のちに続くカワサキ製オートバイのイメージを生み出した名車だといえる。

そして、このW1は、前述した目黒製作所との合併後、1965年に発売した「500メグロK2」がベースといわれている。つまり、メグロは、カワサキ「W伝説」誕生のきっかけとなったブランド名なのだ。しかも2024年は、目黒製作所の創立100周年という記念すべき年。こうした背景から生まれた新型がメグロS1とW230なのだ。

兄貴分となるW800(写真:カワサキモータースジャパン)

兄貴分となるW800(写真:カワサキモータースジャパン)


なお、WシリーズにもメグロK3と同じ773cc・空冷2気筒エンジン搭載の「W800」がある。W230は、その弟分となる軽二輪タイプという位置付けとなる。

ライディングポジションについて

メグロS1のスタイリング(写真:カワサキモータースジャパン)

メグロS1のスタイリング(写真:カワサキモータースジャパン)


そんな背景を持つメグロS1とW230。全体的なスタイルは、いずれも「昭和レトロ」を体現しているようなフォルムが一際目を惹く。そのクラシカルな雰囲気は、とても令和の最新モデルとは思えないほどだ。また、232cc・空冷単気筒を搭載する軽二輪モデルながら、ぱっと見た印象は、400ccなど、ひとクラス上の車格に見えるほどの存在感を持つ。

だが、実際のボディサイズは、両モデルともに、全長2125mm×全幅800mm×全高1090mm。例えば、2モデルの兄貴分であるメグロK3(全長2190mm×全幅925mm×全高1130mm)やW800(全長2190mm×全幅790mm×全高1075mm)の車体と比べると、ひとまわり以上コンパクトだ。



また、シート高もメグロS1が740mm、W230が745mmだから、兄貴分のメグロK3やW800の790mmと比べるとかなり低い。シートにまたがってみると、身長164cmの筆者でも、片足・両足ともにカカトまでベッタリと地面に着く。

そのため、例えば、街中の渋滞路やタイトなUターンをする際などで、仮にバランスを崩してしまっても、余裕で足を地面に着けて転倒を回避できそうだ。こうしたメリットは、車体がコンパクトなだけでなく、車両重量が143kgと軽量な点からも想像がつく。

軽いバイクであれば、バランスを崩しても車体を支えやすいし、最悪の場合、もし立ちゴケをしても、車体を引き起こしやすい。こうした面から推察するに、これら2モデルは、女性や小柄なライダーなど、重いものを持ち上げるのが苦手なユーザーにとっても、比較的優しいバイクたちであるといえるだろう。

なお、ライディングポジションは、ワイドだけれど絶妙な幅のバーハンドルなどにより、上体があまり前傾せず、自然な姿勢で乗ることができる。また、前後に長いシートは、着座位置に自由度があり、筆者のような小柄なライダーから身長が高い人まで、幅広いライダーが窮屈にならずに好みのポジションを取れるといえるだろう。


4/6

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