数十年振りに“今はきたい”と思ったリーバイス
そんな彼が最近惚れ込んでいるのが、このリーバイス。自身がバイヤーを務めるビオトープのオーダーにより制作された1本だ。
「リーバイスのインラインにあるステイルーズというシルエットをベースに、アーカイブ内にある特別な生地を用いて作られた1本です。
近くでご覧いただくと分かりますが、ほんのり古着のようなネップ感が浮き上がっていますよね。リネン混で大体8.6オンス。通常のデニムよりもオンスが軽く、通年通してはきやすいんです。コットン100%で作る通常のデニムですと、12オンスほどですから軽さは実感できると思います」。
ブランドに固執しないとはいえ、デニムは基本的に好きで、その時々ではきたいと思うモノは出てくる。このリーバイスは、溝渕さんが“今はきたい”を体現した1本だ。
「この素材感が絶妙なんです。いわゆるリジッドでもない、手の込んだ加工を加えているわけでもない。それにもかかわらず柔らかくて、安っぽく見えもしない。このデニムが完成したとき、純粋に“はきたい”って思いました。自分だったらこうはくな〜と勝手に妄想したりしてね」。
素材との出合いもひとつの契機だが、アイテム誕生の背景には、とあるデザイナーとの他愛もない会話があった。
「デニムへの原点回帰が始まっていた約2年ほど前。お付き合いのあるドメスティックブランドのデザイナーさんと話をする機会があったんですよ。
そのブランドのオリジナルデニムがわりとゆったりめで、デザイナー自身も40インチのビッグEをウエストでギュッと絞ってはくスタイルが好き、と話していました。僕もそんなスタイルを志向していたので話が盛り上がったんですよね。そんな会話からも着想を得て、この別注リーバイスが完成しました」。
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