「Gクラス」初のBEVは「EQG」の名ではなく「G580 with EQ Technology」として登場した(筆者撮影)
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら。 360度旋回「Gターン」が話題の、メルセデス・ベンツ「G580 with EQ Technology」(以下G580)。4輪それぞれに駆動モーターがあるBEV(バッテリー駆動の電気自動車)であるため、停止位置を中心にその場で旋回できる仕組みだ。
そんな飛び道具の存在が目立つG580を他の「Gクラス」各モデルとじっくり乗り比べてみると、G580の走り味にはこれまでのBEVの常識を覆すような“すごみ”があった。
試乗の舞台は、オフロードとオンロードの大きく2つ。オフロードではディーゼルエンジンを搭載する「G450d Launch Edition」(同G450d)、オンロードではガソリンエンジンの「AMG G63 Launch Edition」(同AMG G63)と比較した。
重さを感じずソフトな乗り味
オフロードでの結論から言ってしまうと、G580は「実にソフトな乗り心地」であった。G580もG450dも、数字上のオフロード性能は似ている。
たとえば、最大登坂性能はともに45度、アプローチアングル/デパーチャーアングルはG580が32度/30.7度で、G450dが31.2度/30.5度といった具合だ。また、最低地上高はG580が250mmに対して、G450dは230mmである。
見た目はこれまでのGクラスとほとんど変わらない(筆者撮影)
最初に乗ったのはディーゼルエンジンのG450dで、エンジンの静粛性の高さに驚いた。アイドリングから走り出しまで、ディーゼルエンジンであることを忘れてしまうほど、エンジンからの音と振動が少ない。
急斜面ではフロント/センター/リアの各デフロックを作動させて挑んだ。また、路面にある大きなコブを越えたり、傾斜角度が20度を超えるバンクコーナーなどがある林道を走ったりもしたが、総じて従来の“Gらしさ”であるガッチリしたハンドリングと乗り心地が、さらに洗練されて扱いやすい印象を受けた。
2/4