OCEANS

SHARE

休止期間で得た新しい気づきと現在の心境

活動休止を経て、山本は「こうでなければならない」というこだわりを手放し、自分が本当に歌いたいものや、書きたいことを大切にするスタンスへと変化した。

「それからは、『こういうアーティストでなければ』という意地を捨てて、もっと自由にやればいいと思えるようになりました。それがすごく楽になったんです」。



創作活動を続ける中で、山本には常に向き合わなければならない課題がある。それは、「考え込む自分」とどう付き合うかということだ。

「正直、そこは全然変えられていないんですよ(笑)。でも、『変わらなきゃ』と思うほど、逆に苦しくなることもあって。だから、変われない自分がいてもいいんじゃないか、と考えるようになりました。それが意外にも、自分を助けてくれることもあるんですよね」。

性格を無理に変えようとせず、むしろその一面と共存しながら歩み続ける。それが、山本が見つけた自分らしい向き合い方だ。彼女は自己対話を重ねる中で、ある重要な気づきを得た。

「俯瞰するもう一人の自分」――創作の源泉



「私の中には、どこか俯瞰している自分がいて、まるで『もう一人の自分』が山本彩という人間を使って表現している感覚なんです」。

その「俯瞰する自分」は、彼女の音楽に自由と多様性を与えると同時に、独自の世界観を築く原動力となっている。

「曲作りでも、『こういう曲を歌ったら面白いんじゃないか』という発想が強いです。『こういう歌を歌いたい』というより、誰かをプロデュースしているような感覚で作ることが多いですね」

彼女の音楽制作には、この「俯瞰する視点」が欠かせない。しかし、彼女は同時に、自分自身を見つめることの難しさにも向き合っているという。

「自分を見つめたり、自分を理解することは私にとって一番のハードルです。だから、素直な気持ちをそのまま書くのはすごく難しい。でも、物語やフィクションに置き換えると自然に書ける。そういうやり方が自分には合っているんです」。


4/6

次の記事を読み込んでいます。