その後、大学進学を機に上京。理工学部で情報システム工学を専攻する。
「ゼミでは情報通信ネットワークの研究をしていました。具体的にはルーターと呼ばれる機械と物理的な通信線で構成されるネットワークにおいて、グラフ理論という手法でそれぞれの線の使用率をグラフの中で均等にしていくという内容です」。
後述するが、現在の仕事内容とかなりリンクしているようだ。
大学院卒業時に書いた修士論文。
ゼミのメンバーとも仲が良く、卒業旅行で伊豆コテージに泊まったのも楽しい思い出だ。
幼少期から長く中国に住んでいた日本人の先輩が、持参した謎のスパイスで鍋を作ってくれたという。
いろんなスパイスが複雑に絡み合う火鍋のような味だったそうだ。
就活は通信系企業に絞り、受けたのは3社のみ。最終的には大学院1年のときに就業体験型インターンシップに参加したソフトバンクに入社する。
「インターンシップではネットワーク機器の管理部門業務を体験させてもらいました。その部署の部長さんがはっきりとしたビジョンを持っていて、部下のモチベーションを上げてくれるタイプ。他の社員の方も皆さん魅力的で、『ああ、これは運命の出会いだな』と思ったのを覚えています」。
ちなみに、輝さんが初めて携帯電話を持ったのは中1のとき。その「705SH」というガラケーから始まり、高校以降は「mirumo2 944SH」に続いてiPhoneデビュー。現在は「iPhone12」を使用している。これまでずっとソフトバンクユーザ ーだったんだそう。
「よく使うアプリはレトロな写真が撮れる『Dazzカメラ』、観た映画を記録に残すための『Filmarks』、通勤中に本が読める『Kindle』など。支払いはPayPayだし、ライブチケットの決済もスマホなので財布は持ち歩かないですね」。
(左)世界初(※当時)となるタッチメモリ液晶防水携帯の「mirumo2」、(右)現在使用している「iPhone12」。
新卒入社後はインターンを体験した部署に配属されたが、1年後には“ガチ”でネットワークを作るパケットネットワーク部に異動。エンジニアとして4G・5G通信のネットワーク機器の設計、検証、構築を担当している。
「簡単に言うと、私たちが使っているモバイル機器の電波をキャッチする基地局からインターネットに抜けていくまでの伝送路を作る仕事です。基地局はビルや鉄塔などの上に設置されているものもあり、私たちが見ると『あれは基地局だな』とわかります」。
こちらが基地局。
我々が見る機会はほとんどんないかもしれない。
「大変だったのは、新しい世代のネットワークにするために最新機器を導入する案件。今の部署に入って1年目でしたが、検証中は様々な企業のプロを相手にソフトバンクとして判断を行う必要があるんです」。
かなりのプレッシャーがあったものの、輝さんは他の仕事の合間に猛勉強をしながら根性で乗り越える。彼女にとって大きなターニングポイントになった仕事だという。
そんな看板娘を推薦してくれたのは、同じインターネットサービス部の部長、渡邊孝也さん。
「春日さんとは足掛け3年ぐらい一緒に仕事をしていますが、まだ経験したことがない案件でも持ち前の根性で熱心に取り組むタイプ。たとえば、何社かで協力して行う地下鉄のネットワーク設計はかなりマニアックな分野で、それでも社内外の専門家から情報を仕入れて完遂。任せてよかったなと思うとともに、以降はちょっとチャレンジングな案件をお願いすることも増えました」。
「後輩の面倒見もいいし、相手がわからないことをヒアリングして教えるのが上手」と渡邊さん。
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