[左から]全米海洋教育者協会(NMEA)のジョアンナ・フィリッポフさん、メーガン・マレロさんさん、環境写真家でアーティストのエンツォ・バラッコさん、ユネスコIOCシニア プログラム オフィサーのフランチェスカ・サントロさん
12月11日の夜、プラダ 青山店で「Prada Possible Conversation」が開催された。世界中の思想家、文化人、科学者、ファッションリーダーが集まっておこなわれているトークイベントシリーズである。
5月のニューヨーク回に続き、東京には4人の有識者が来日。感度の高いファッション業界人も多く集結し、クリエイティブかつユニークなトークが熱く繰り広げられた。その一部をここでレポートしたい。
今回のトークテーマは「持続可能性と海洋保護」。どうすれば我々は海の豊かさを守り、次世代へとつなげられるのか。ぜひ一緒に考えてほしい。
【写真6点】「プラダ 青山店で、海洋保全の最前線の景色を目撃。『海にはまだまだ語られるべき無数のストーリーがある』」の詳細を写真でチェック プラダ・グループが手掛ける「SEA BEYOND」とは
プラダ・グループは、サステナビリティをめぐる諸問題に対して、ファッション業界の中でもとりわけ熱心に取り組んでいるリーディングカンパニーのひとつだ。
同グループが本格的に動き始めたのは2019年。持続可能性と海洋保護に対する意識向上を目指し、「SEA BEYOND」(シービヨンド)という教育プログラムを、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)との協働で立ち上げた。
2019年といえば、プラダがリサイクルナイロンを使ったカプセルコレクション「Prada Re-Nylon」をローンチした年に当たる。「SEA BEYOND」の構想段階から携わっているユネスコIOCシニア プログラム オフィサーのフランチェスカ・サントロさんは当時をこう振り返る。
「プラダから『環境保全への理解を深めるような活動がしたい』という話を受け、ぜひ一緒に若い世代の教育に取り組みましょう、と提案しました。教育こそが、社会を変えるための最も強力なツールだと考えているからです」。
主に中学生を対象にスタートした「SEA BEYOND」だが、現在は3〜18歳まで拡大。子供たちに限らず、プラダ・グループの従業員、他業種のビジネスパーソン、政策関係者まで、多様な人々にトレーニングを提供する、包括的なプロジェクトへと成長している。
「プラダと一緒に取り組むことで、より大きなオーディエンスに私たちのメッセージを届けられるようになりました。プラダもまた、私たちから海洋リテラシーを学び、生産や販売の方法を見直すなど、ポジティブな変化を遂げています」(サントロさん)。
官民連携の重要性が叫ばれるようになって久しいが、ユネスコとプラダの協働は、今改めて注目すべき事例となっている。
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