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本命のアルバムはいつ出るのか?


ここもあくまでも予想というのが大前提だが、ケンドリックはまだ本命のアルバムを出す予定だという説が噂されており、リリースの時期についてはさまざまな意見が分かれている。

まずは私の予想だが、12月25日(水)のクリスマスの日にリリースすると思っている。これは細かいヒントが多数あるが、大きく分けて2つの理由がある。



1つ目はケンドリックが今年、アメリカにとって重要な祝日などに取った行動に基づいている。

今年を代表するヒット曲「Not Like Us」を最後の5曲連続で披露する異例のコンサートを、黒人にとって重要な奴隷解放を祝う6月19日の祝日に合わせて開催したこと。

さらに、その「Not Like Us」のMVを7月4日の独立記念日に合わせて公開したように、ケンドリックはアメリカにとって重要な日に合わせて大きな動きを見せて来たのである。

信仰深いケンドリックがクリスマスというイエス・キリストの誕生を祝う日に本命のアルバムをリリースするのは非常に辻褄が合うのだ。

2つ目は、「GNX」の2曲目である「squabble up」のMVの最後に「コンプトン・クリスマス・パレード」の垂れ幕を壁にかけていること。このMVは隠されたメッセージに溢れた映像に仕上がっているが、そのほとんどが自身の地元に対する愛が見え隠れするものばかりだ。

その中で最後にわざわざクリスマスと書かれた垂れ幕を出してきたのは偶然ではない。常に考え抜かれた行動を取るケンドリックなので何も意味がないとは考えにくい。


「squabble up」より引用

次にネットで見かけた納得のいく、考え抜かれた説を紹介しよう。

冒頭でも書いたとおり、このミックステープのタイトルはビュイックのグランドナショナルというシリーズをアップグレードしたGNXのことを指している。当時のビュイックは複雑な工程で製造されていたため、アップグレードの日にちを限定し、新聞紙などで告知する必要があり、その日が12月12日~14日の3日間だった。そんな短い期間内で一度しかアップグレードできなかったから世界に500台ほどしかないのかもしれない。

さらにアップグレードには2660ドルの費用が掛かっていたが、実は今回のミックステープの長さが総合でちょうど2660秒なのである。



入念に準備をするケンドリックのことだから、自身が生まれた1987年に販売されたビュイックのグランドナショナルをアップグレードしたGNXを、37年経った今、自身のアルバム名に冠し、「ミックステープをアップグレード」する日として12月12日を選んでいるという説だ。

もしこれが本当ならケンドリック・ラマーは抜け目がない天才であるし、HIPHOPの救世主としては申し分ないラッパーだ。12月12日に出るのか? 25日に出るのか? 今後の動向に皆さんもぜひ注目して頂きたい。



最後になるが、私はHIPHOPが大好きなので、今回のケンドリックの動きがHIPHOPシーンにとって大きな改革になることを願っている。

薬物や性行為をどれだけやったとか、お金を見せびらかすことを美化する曲ばかり売れる業界には憤りを感じていたので、ケンドリックのように意味のあるメッセージをスキルフルに披露するラッパーや曲が、より注目を浴びるようになってほしい所存だ。

とはいえ、物質主義的な内容を一掃してしまうのもつまらなくなると思うので、上手くバランスが取れた業界になってくれることを心から願っている。

現在HIPHOP業界が大きく変わる節目に直面している。皆さんもぜひその動向を見守って頂きたい。


ショットガンダンディ=文 佐藤ゆたか=写真 池田裕美=編集 
マンハッタンレコード=撮影協力 

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