リーバイスの門戸を潜った大人なら、ほぼ例外なく501に脚を通してきただろう。一昨年、150周年を迎えたフラッグシップモデルはやはり偉大。この先も我々のワードローブから消えることはない、そう断言できるほどに。
ではリーバイスと親密な関係を築いてこなかった大人にとって、501はどんな存在か。「ステイフラワー」オーナーの中井侃矢さんは、デニムへの目覚めも、リーバイスをはき始めたのもここ最近。そんな彼が愛用する1本とは?
【写真13点】「フラワーショップオーナーが語るリーバイスへの愛着」の詳細写真をチェック 中井侃矢(なかいかんや)●1994年年生まれ。脱サラして花木業界へと転職した異色の経歴をもつ。オンラインにて生花販売をスタートさせ、2017年には代田橋に「STAYFLOWER (ステイフラワー)」、2023年に「STAYFLOWER NAKAMEGURO」をオープン。生花や花器、ファッション小物などを販売するほか、さまざまな場所で不定期に行われるワークショップも人気。
転職を機に、リーバイスに興味を持ち出し……
フラワーショップのオーナー。そう言われなければ、中井さんが花木業界に身を置く人だとは思わないだろう。
さぞかしデニムにもお詳しいのでは……と思いきや、彼が初めてリーバイスをはいたのは大学時代と遅咲き。だが、ブランド自体は幼い頃から身近に感じていたという。
「父が洋服好きで、若い頃は頻繁に大阪へ通ってリーバイスのデニムを購入していたようです。僕の記憶でもよくデニムをはいてましたし、何本も持っていたと思います」。
普通は父親の影響を受けそうなものだが、中井さんは例外だったようだ。
「当時はリーバイスにもデニム自体にもさほど興味を抱くことはなかったんですよね。大学生で初めてリーバイスを購入したときも、どう合わせればいいのか皆目見当がつかなくて、結局あまりはかずに終わった気が(笑)」。
時は流れ、中井さんは社会人となり上京。社員寮のある船橋から日本橋のオフィスまでを往復する毎日が始まった。
「商社勤めで、基本的にクライアントは海外の日本食レストランなどの飲食店。仕事のほとんどはメールや電話で事足り、外出は稀だったんです。
冗談に聞こえるかもしれませんが、仕事を覚えるのに必死で気づいたらもう梅雨が明けていたんですよ。入社からあっという間の4カ月でした」。
無機質な日常に危機感を覚えた中井さんは、24歳で花木業界へ転身。その数年後にはショップをオープンした。その決断によって人生が彩り始め、考え方から身につけるものまでガラリと変わったという。その象徴的なアイテムがリーバイスのデニムだ。
「この業界に転職してからは必然的に着るものも変わりました。若い頃はストリートっぽいアイテムが好きでしたが、徐々にワークウェアを好むようになり、古着も多くなりましたね。その流れで数年ぶりにリーバイスをはくようになったんです」。
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