OCEANS

SHARE

名店④ 和歌山最強の行列店「ラーメン 丸花」 



最後に紹介するのは、「ラーメン 丸花」。和歌山市内における最強格の行列店にして、「横浜家系ラーメン」を提供する個人店舗。屋号に「丸」が付くので、「和歌山ラーメン」を出す「車庫前系」の店と勘違いされがちだが、さにあらず。れっきとした「横浜家系ラーメン」の専門店だ。

同店のオープンは、2009年11月。和歌山電鉄貴志川線・日前宮駅から約1.6kmと、最寄り駅からやや距離があるが、開店から閉店まで、店前には常に長蛇の列が連なる。公式営業時間は11時から17時までとなっているが、17時までスープが残っていることは、殆どない。

ちなみに、同店の店主は「山為食堂」のご出身。山為食堂は、「井出系」、「車庫前系」のいずれにも属さない独自の和歌山ラーメンを提供する、和歌山市を代表するビッグネームのひとつ。同店で修業した店主が、今度は和歌山ラーメンですらない「家系ラーメン」を紡ぐ。師匠、弟子ともに、周りに左右されず我が道を行くスタイルを貫いているように感じるのは、私だけだろうか。



さて、現在、同店が提供する麺メニューは「塩豚骨」、「醤油豚骨」及びそのバリエーション。どちらを食すべきか、迷う気持ちは大いに理解できるが、いずれか一方と言われれば、私は「塩豚骨」を推したい。



注文から提供までに要する時間は約5分。スープはクリーミーでありながら、口当たりが実に軽快。分厚い豚・鶏のコクと色気を感じる塩ダレの風味とが、阿吽の呼吸で協働し、快楽中枢を刺激。

これに加え、味わいにフックを与えるファクターとして仕込まれた上質な甘みが口内で長く後を引く構成は、手放しで賞賛に値する。まさに「うま味の暴力」といった様相を展開する、惹きの塊のような1杯だ。

正直、ここまでハイレベルな1杯が食べられるとは予想していなかった。待ち時間の発生を加味しても、訪問する価値がある超優良店だ。
ラーメン 丸花
住所:和歌山市出島273-4
営業:11:00〜17:00
定休:火曜
X:@ramenmaruhana


田中一明=写真・文 池田裕美=編集

SHARE

次の記事を読み込んでいます。