食事と一緒に摂ると血糖値の急上昇を防ぐ効果がある
shutterstock
ーー根拠について詳しく教えていただけますか? 一般的に、炭水化物などの糖質を摂ると血糖値が急上昇し、体内でインスリンが大量に分泌されます。このとき、使いきれなかった糖質はインスリンの作用によって脂肪へ変換されてしまうのです。それだけでなく、そのあとの血糖値の急降下を招き、さっき食べたばかりなのにもうお腹が空いた……という悪循環を招きやすいのです。
つまり、ダイエットには血糖値の乱高下を防ぐことが重要。お酢には血糖値の上昇を緩やかにする作用があるので、食べ過ぎを防ぎ、自然と食事量を減らすことにつながるのです。
ある研究では、米やパンを食べる際にお酢を一緒に摂取した場合と、そうではない場合とでは、前者の方が食後の満腹感が増す結果になったという報告もあります。
すなわち、お酢を摂取することで1日の食事の総摂取量を減らすことができる可能性があるため、体型コントロールをサポートしてくれる心強い存在と言えるでしょう。
ーーでは、お酢を摂取するベストなタイミングは? 食後の血糖値上昇を緩やかにする目的の場合、お酢は食事の直前、または食事中に同時摂取することをおすすめします。食後ではタイミングが遅いです。
そして血糖値の急上昇を防ぐ以外にも、「先食べ」のメリットは様々あります。
◆唾液や胃酸の分泌を促す
⇨栄養価の吸収率を高める、消化を助ける
◆腸のぜん動運動が活発になる
⇨便通が改善する
◆五味のバランスを引き立てて味覚が敏感になる
⇨このあとに食べる食事の旨みをより感じられるモードになるので、一食の満足度が高まる
懐石料理などの和食店では、コースの突き出しに酢の物が出てきますよね。あれはまさに「先食べ」の理にかなった日本古来の先人たちの知恵なんです。
居酒屋のお通しでも、もずく酢や春雨サラダなどお酢のきいたものが出てきたらラッキーですね。洋食であれば、フレンチドレッシングのサラダや野菜のピクルスなどがその役割を果たしてくれます。
shutterstock
ーーどんな食事でもお酢の「先食べ」を意識すると良いと。 はい。さらに言えば、食事とお酢を合わせることにはダイエット目的以外でもうれしい効果がたくさんあります。
たとえば減塩。昔から「いい塩梅」という言葉がありますが、これは、どれだけ塩を足してもそれ以上美味しくならないものが、梅の酸味がほんの少し加わるだけでちょうどよく味が決まる、ということからきた言葉です。
焼肉のタン塩、唐揚げ、秋刀魚の塩焼き……これらの料理もレモンを絞ればグッと美味しくなりますし、余計にタレや醤油をかけなくて済むので減塩につながります。
ラーメンやチャーハンなど中華料理にもお酢をかけたりしますよね。あれも余計な調味料を増やさずとも、味変しながら最後までおいしく食べ進められる良いアレンジです。
また、お酢にはカルシウムを溶出し、体内に吸収しやすい状態にしてくれる機能があります。カルシウムは骨や歯、爪などの形成に欠かせませんが、日本人の多くが摂取量が不足しているうえ、そもそも吸収されにくい栄養素でもあります。
カルシウムの吸収を促す食べ方としては、納豆にお酢をかける「酢納豆」がおすすめです。白くふわふわになるまでよく混ぜて食べると、さっぱりして食べやすくなりますよ。また、カルシウムたっぷりな食材である切り干し大根を三杯酢で戻すのもおすすめです。
そのほか、一時期ブームにもなった「酢玉ねぎ(玉ねぎのピクルス)」は、玉ねぎに含まれる硫化アリルとポリフェノールの一種であるケルセチンを余すことなく摂取できる食べ方として知られています。新陳代謝を活発にし抗菌作用をもつ硫化アリルと、抗酸化物質であるケルセチンは、アンチエイジングや免疫機能の向上といった観点からも積極的に摂りたい栄養素です。
3/3