帰ってきた愛されキャラ
「カッコつけてる」or「カッコつけてない」×「カッコいい人」or「カッコ悪い人」の組み合わせで、最悪なのは「カッコつけてる×カッコ悪い人」だろう。
難しいのは、「カッコつけてる×カッコいい人」と「カッコつけてない×カッコいい人」のどっちがカッコいいのか、というところ。これは人生観、生き様の問題だから、甲乙つけがたい。
Tクロスをこれに当てはめると、間違いなく「カッコつけてない×カッコいい車」だ。
誤解なきよう付け加えると、内外装ともにデザインにはこだわっている。ただし、顔もボディサイドも内装も、ピシッと直線基調。
ウネウネさせたり、ギラギラさせるのではなく、削ぎ落としたシンプルな機能美。身だしなみと清潔感で勝負するタイプだ。
正直な話、ここ最近のVWはちょっと元気がなかった。電動化と環境対応、デジタル化、自動運転、それにモデルラインナップを含めたブランド戦略など、歯車がうまく噛み合っていなかった。
けれども新型Tクロスは、運転支援システムの「トラベルアシスト」が全グレードに標準装備されるなど、新しい流れにしっかり対応している。実直で質実剛健、だからこそお洒落。愛されキャラのワーゲンが帰ってきたのだ。
| モータージャーナリスト サトータケシ フリーランスのライター/エディター。トヨタのランクル“250”の広報車を借りたときのこと。「尾行して場所を突き止めて、夜中に盗みに来るから気をつけろ」という知人からのアドバイスにビビって、試乗後、すぐに返却。 |
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