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店内はテーブル席が全部で約40席ほど。平日の昼時には約半分の席が埋まっていた。料理の到着を待っている合間にメニューに目を向けると、やはり一番人気は「むしり」を使った定食であることが分かる。

「瀬川のむしり定食」の横の「超絶厚切り角煮定食」も気になるけれど、ここはひとつ「むしり」を待とう。



「お待たせしました、むしり定食です」と目の前に出された鶏肉の大きさに唖然としてしまった。だが、「むしり」の魅力は、その大きさだけじゃない。

半身とはいえ、手羽、もも、せせり、なんこつ、ぼんじりなど、様々な部位を一度に味わえるのも魅力だ。しかも、どの部位を食べても、均一に火が通っていて、味が染みているのが見てわかる。



フォークで肉を割くと、鶏の旨味を凝縮したジューシーな肉汁がほどよく溢れ出す。から揚げとも違う、焼き鳥とも違う、初めて出会う食べ物だ。口に含めば、ほどよい塩気をまとった弾力感のある鶏肉と、パリパリの外皮の組み合わせが絶妙である。溢れ出る肉汁をご飯に絡めて食べると、もう箸が止まらない。



1日に出せるのは50~60人前ほど。クリスマス時期にはあっという間にその注文枠が埋まり、年末近くまで連日予約満杯だという。長野ではケンタッキーフライドチキンよりも「むしり」が人気だというが、その理由がすぐにわかった。

テイクアウト用の「むしり」が焼き上がりまでに時間がかかるので、今はじっくりと目の前のこいつにかぶりつくとしよう。今年から「クリスマスのチキンといえばむしりでしょ」といえる、オトナへ一歩近づいた気した。

アントレース=取材・文

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