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防災対策、避難所は自分たちで作ってしまえ!

災害時、「日本は“待ち”の姿勢が多い」という野村さん。

「国や上からの指示を待っていたら、防災は間に合いませんよ。特に近年は災害が多いから。自分が住む地域は、自分たちで変えていかないと」。

現在、日本全体に足りていないのが「臨機応変さ」、そして自治体レベルでの取り組みだという。野村さんは各自治体や教育関係とも連携した防災活動を行なっているが、そこには「ないものは作る」というクリエイティブさも求められる。



「日本には1700ほどの市町村があり、それぞれの環境に即した避難所の運営方法や災害対応が必要なんです。すごく手間のかかることですが、僕からしたら逆に『1700通りの防災対策を作るチャンスが残っている』って思ったんです。

例えば、公共施設に限らず、デパートやマンションだって一定の条件をクリアすれば指定避難所にできるんです。指定避難所には災害時に水や食料、日用品などの物資が集まる。近所の良く行くお店を指定避難所にできれば、遠くまで行かなくて済むし、自宅との往復もラクでしょう」。

たしかに、馴染みの場所なら避難しすいし、集まる避難者たちも顔見知りで安心する。何より、被災時に遠くの避難所まで行く危険性もない。

「ある中学校では、『防災部』を作ったこともあります。部員の子たちが小学生と一緒に街を散策しながら帰ったり、休日に消防団と一緒に訓練したり、防災イベントもしました。災害時、避難所行きのバスを早めに出すという試みを提案したこともあります」。


野村さんが一部監修した、名古屋市の防災アプリ。左下の「学び」の中には、防災知識に役立つ情報がクイズ形式で得られる。


ほかにも、「子供連れや高齢者、障がい者など、避難者の状況を把握できる二次元コードを開発したい」「避難所や公園などにオムツやナプキンなどの自販機を設置し、災害時は無償で提供できるようにしたい」など、経験を活かした野村さんのアイデアは尽きない。


オーシャンズ読者であれば、自然を楽しみながら五感を磨いている人も多いはずだ。そのうえで、いつか起きる災害に備えて、自分が住む地域の被害を最小限にできることを考えたい。

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佐藤ゆたか=写真 池田裕美=取材・文

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