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「私の人生をレスキューした」お婆さんとの再会

野村さんはお婆さんのその後の経過が気になっていたが、当時は連絡する術がなかった。その半年後、車椅子に乗った高齢者と男性、小さな男の子が消防署にやってきた。

署内に入ろうとする3人を見て、野村さんは駆け寄り声をかけた。「お婆さん大丈夫? 手を貸しましょうか」と。

「そうしたらお婆さんが『その手、その大丈夫って言葉、あんたでしょう』って、僕の名札を見て、わーっと泣き崩れたんです」。



野村さんも、あのお婆さんだと気づいたが、お礼に来たのなら「仕事中だから」と断ろうとした。が、彼女の目的はそうではなかった。

「お婆さんは泣きながら、『あなたは消防士として怪我や瓦礫から救ってくれた。でもね、あなたが本当にレスキューしたのは私の人生なの。人生をレスキューする消防士はほかにいないわよ』と言われたんです」。

「もう一度命をもらえたから」と、その後は親子の確執や言い合いもなくなったという。さらには、お孫さんが消防や災害関係の職に就いたことも風の便りで聞いたのだとか。


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