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脳にこびりついて離れないお婆さんの目



僕らはその後も聞き込みを続けました。

すると、現役で神女をやっている方はもう1人しかいないと教えてもらったんです。そして、その方はその日は留守で会えないと。

「では、引退した神女の方はいらっしゃいますか?」と、僕は重ねて聞いたんですね。すると、その方が「引退した女性はいます」と。

「もともとは神女で、イザイホーにも参加した島に残る最後の人。そのおばあちゃんは……」と所在を聞いて、鳥肌が立ちました。だって、そのおばあちゃんっていうのが、なんと、さっき僕をすごい目で睨んできた方だったことが判明したんです……。


 
僕は急に怖くなりました。あぁ、もうこれ以上は無理だと、取材も打ち切りにしました。

あのお婆さんの僕を見る目は、人を見る目ではなかった。何かを射抜くような、まるで呪いをかけてくるような目だったんです。いまでも脳にこびりついて離れない、真っ黒な目。

お婆さんが僕をあの目で見た意味は「来るな」というメッセージで、僕らを拒絶していた。「イザイホー」は門外不出の儀式で、よそ者が簡単に触れてはいけない世界なんだと、それをはっきりと悟りました。


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