時計に求められるのは、時刻を知るための実用性に加え、唯一無二の個性の表現であることに異論はないだろう。ハリー・ウィンストンこそ、その真価を追求するブランドである。
1932年の創業以来、ハイジュエラーとしての世界的な名声を獲得。1989年からは本格的なウォッチメイキングをスタート。当初から複雑機構にも取り組み、感性豊かなタイムピースを発表してきた。
ニューヨーク発ジュエラーならではの美意識と独創性、そして精緻なクラフツマンシップを宿す作品は、無限大の価値とともに時を刻み続けるのである。
アートな腕時計①プロジェクト Z16 トリプルカレンダー搭載!NYの街を視覚的面白さで表現
2004年にスタートした「プロジェクト Z」は、極めてハリー・ウィンストンらしいシリーズだ。
最大の特徴はケースに採用したザリウム素材で、このジルコニウムをベースにした特殊合金は、軽量性に加え、耐食性や耐傷性にも優れることから従来、医療分野や宇宙工学に使われてきた。
こうした先進素材への取り組みは、ハイジュエラーとして貴石で培ってきた経験とこだわりにも通じ、渋いガンメタカラーは秘めたポテンシャルを予感させるのだ。
第16作目となる本作では、シリーズ初のフルカレンダー機能を搭載し、二つの小窓で月と曜日、文字盤外周に記した日付を針で表示する。スケルトン文字盤はその複雑な表示機構の一部をあらわにし、グラフィカルなモダンアートのように楽しめる。
「プロジェクト Z16」世界限定100本。ケース径42.2mm、ザリウム、ブルー・アリゲーターレザーストラップ(ラバーベース)、自動巻き。360万8000円/ハリー・ウィンストン(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション 0120-346-376)
さらにオープンワークされたブルーのブリッジは、ニューヨークの摩天楼や吊り橋を支える力強い梁や鉄骨を想起させる。その街は1932年にジュエリーブランドとして立ち上げた発祥の地であり、ハリー・ウィンストンのデザイナーたちにとってインスピレーションの源であり続きてきた。そんなニューヨークへのオマージュが込められているのである。
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