「青い珊瑚礁」は韓国の40代にも思い出深い曲
「あ〜」という曲の出だしで、地響きがなるような歓声が湧き起こった会場の様子はYouTubeやショート動画などで韓国でも瞬く間に拡散し、韓国メディアもこぞって取り上げた。
日本の中年層も巻き込んだ熱狂の様子から、日本の文化に押されていた時代は終わりK-POPが韓流の位相が変わったとするもの、そして、K-POPへの新たな韓日文化の境界を崩したとするものまでさまざまな角度から報じられた。
「ハニの青い珊瑚礁は40代の追憶と、Z世代のニュートロの完璧な同期化」と世代をつないだと書いたのはハンギョレ新聞(6月29日)。ここでいう40代には韓国の40代も含まれる。韓国で日本映画の名作といえば必ず上がるのが『Love Letter』(日本では1995年、韓国では1999年に公開)で、この主人公が口ずさんでいたのが「青い珊瑚礁」だった。
日本の大衆文化は1998年まで開放されていなかったので、日本の文化が好きだった当時の若い世代は日本からビデオを購入し、カフェを借り切って上映会を開いたりしていた。「青い珊瑚礁」は映画のシーンを記憶している韓国の40代以上にとっても思い出深い曲なのだ。
日韓の文化の境界が崩れたという視点で報じた中では文化日報のコラムは印象的だった。一部抜粋しよう。
「この舞台を韓国人も違和感なく鑑賞できたことは原曲の力なのか、ハニの力なのか、ファンたちの力なのか……。どうやっても1つの答えにまとめることはできないけれど、K-POPが今や多様で幅広い文化を包み込めるほどの力量と余裕を持ったことは明らかだろう。もしかしたら、Kコンテンツの開放さと包容力は私たちの想像と期待以上なのかもしれない。韓日関係が持っている胎生のような障壁は文化の地場の中では壊れ続けている。これはとても気持ちのいい”亀裂”だ」(文化日報2024年7月4日、パク・トンミ文化部次長コラム)
いずれも「青い珊瑚礁」が1980年代、日本がバブル景気に沸き、元気だった時代を象徴する曲として取り上げており、冒頭の KBSのニュースでは、「国が豊かで、家族が幸せだった時代、韓国よりも2020年も前に1人当たりの所得が1万ドルを達成した日本は1980年代の高度成長を通して2万ドル、3万ドルというハードルを越えていきました。当時、グローバル半導体市場を席巻していたのは韓国でも台湾でもありませんでした」(7月8日)と解説していた。
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