「カレー人類学」とは…… 「今、カツカレーが世界中でブームを巻き起こしています」と語るのは、4000軒以上ものカレーを食べ歩いてきたカレー細胞さん。
特にイギリスでは、カツカレーが「英国民食」と呼ばれるほど浸透しているが、我々日本人が思い描くものとは随分かけ離れているという。
「海外の方にも、そして日本の皆さんにも、“真の=リアル・カツカレー”を知ってほしい」。
そう熱弁するカレー細胞さんが選ぶ、銀座・金沢・大阪のレジェンド店を紹介。
【写真19点】「外国式カツカレーのリアルと日本の3大名店を紹介」の詳細写真をチェック 案内人はこの方! カレー細胞●カレーキュレーター。日本全国はもちろん、アジア・アフリカ・南米に至るまで、4000軒以上のカレー店を渡り歩いてきた。カレーカルチャーの振興に向けた活動を精力的に行っている。雑誌やWeb連載のほか、「マツコの知らない世界」(TBS)などTV出演多数。映像クリエイターとしての顔も持つ。プロデュースする大イベント「ジャパニーズカレーフェスティバル2024」が2024年8月10日〜9月8日まで渋谷にて開催。詳しくは公式サイト(https://japanese-curry-festival.com)にて。
日本カレー界きっての超メジャー選手、カツカレー。
その知名度は日本にとどまらず、海外でも老若男女問わず大人気。
なかでもイギリスでは、カジュアルな日本食レストラン「wagamama」が、カツカレーをレギュラーメニューにしたことをきっかけに、爆発的に広がりました。
イギリス・ロンドンを中心に世界中に店舗を広げる日本風料理店「wagamama」。写真提供:curry_to_sonohoka(@currytosonohoka)
ところがこの「wagamamaカツカレー」、我々日本人からすると「え?」と思ってしまうひと皿なのです。
まずカツは、ポークではなくチキン。豚肉を食べられない宗教の人に配慮してのことでしょう。そのチキンカツの上に、なんとご飯をトッピングして、さらにルーをかける……。
日本が誇るカツカレーは、ロンドンではこんなスタイルで提供されている!写真提供:curry_to_sonohoka(@currytosonohoka)
イギリスはパン文化なので、白米は主食ではなく、ポテトと同じ「付け合わせ」なのですね。そんな「ちょっと待った!」と言いたくなるカツカレーが、海外では日本式カレーとして広まってきています。
それどころか、「カツカレーはイギリスの国民食」と言い出す人まで現れてきました。
東南アジアやオーストラリアなどでもカツカレーブームですが、オーナーの多くはチャイニーズ系やコリアン系。
このままでは「和牛」が海外で商標登録を取られてしまったように、カツカレーも外国のものになってしまうかもしれません。
チリ共和国サンチアゴで人気の日本食レストラン「SHOO-GUN(将軍)」の「カツカレーライス」(1万2500ペソ)(2016年3月)。そばに置いたiPhone5sと比較するとその巨大さがわかる。米もカレーもカツもちゃんとしていて美味いのだが、大きさだけが南米基準。この3分の1くらいの大きさで十分。
ロサンゼルス国際空港(LAX)内のフードコート「HAMADA orient express」でいただいた「CURRY RICE w/PORK CUTLET」($9.50)(2009年当時、現在は閉業)。バサッと散りばめられたカツはまるでさつま揚げのような食感。日本人が食べるとカツ、カレー、ライスそれぞれがミスマッチに感じ、お世辞にも美味しいと思えなかった。
「チャンピオンカレー」のカリフォルニア州バークレー店のシークレットメニューより。チキンカツ、ポークカツ、牛ミンチカツ、フィッシュカツがのったメガメニュー。www.instagram.com/p/C2IIgsNpwNu/より引用。
今こそ「カツカレーは日本が誇るパーフェクトなカレーだ」と、我々日本人が自覚すべき時。
インバウンドの方々に「本物を食べさせてあげるよ」と胸を張って言える名店へ、いざ参りましょう!
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