創業100年超えがひしめくスイス時計界においては、1988年生まれと比較的若い部類に数えられるウォッチメーカー、フレデリック・コンスタント。
社是として「手の届くラグジュアリー」を謳いながら、自社製ムーブメントの開発から、時計の組み立てまでの全ての工程を自社一貫製造する 、いわゆるマニュファクチュールとしても発展を続け、昨年で35周年を迎えた。
愚直なまでにコンセプトを追求し、長きにわたって我々を満足させ続けるには、その「想い=ハート」が不可欠となる。そんな熱き想いのこもった3つのハナシを紐解いていこう。
ブランドアイコンは、中身をチラ見せする“ハート”ビート
フレデリック・コンスタントがその名を轟かせたのには、オープンダイヤルをもつ機構「ハートビート」の存在が大きい。
人気のレクタンギュラータイプのネイビーを基調とした「クラシック カレ オートマチック ハートビート」日本限定モデル。12時位置の窓からは、振り子の役割を果たすテンプがのぞき、機械式時計の躍動を感じられる。また、6時位置の日付窓から覗くデイト表示は、精度の高い旋盤で肉抜きされた日付の数字が背景の地と重なって立体的に見えるような仕掛けとなっている点からもオリジナリティが感じられる。自動巻き、SSケース、縦38.7×横30.7mm。27万5000円/フレデリック・コンスタント 0570-03-1988
これは、ダイヤルの一部を切り開き、機械式ムーブメントの心臓部であるテンプの動きを時計正面から覗ける仕様のことで、同社が1994年に世界で初めて考案した意匠とされている。
当時、ありそうでなかった遊び心あふれるこの「ハートビート」が、機械式時計の楽しみを広げるために貢献したことは間違いなく、クオーツショック以降の機械式時計が再興するなかでも意義深いものだったと察せられる。
2004年には、自社開発によるハートビートキャリバーを完成させ、マニュファクチュール化に成功。同社の発展の歴史そのものでもあるのだ。
その一方、ラインナップを拡充するなかで汎用ムーブメントを改良したハートビートキャリバーも進化を遂げており、手の届く価格帯で高品質のスイス機械式時計を楽しむことができる。
昨年登場した日本限定モデル「クラシック カレ オートマチック ハートビート」は、引き続き注目の一本。
ブランドにおいて長きにわたって人気を博し続けているクラシカルな角型シリーズ「クラシック カレ」のなかでも、アワーマーカー、ミニッツトラック、時分秒針、レザーストラップに至るまでをネイビーに統一。乳白色のダイヤルとの相性も良く、ファッション目線でもファンが多いモデルだ。
このモデルに代表されるように、ちょっとした洒落心を垣間見せながら、時計好きやファッション好きの心も掴む仕立てで「手の届くラグジュアリー」を実現。
スイス時計にして求めやすい価格帯を実現する姿勢は、この時計同様にブランドの「ハート」を覗かせているといっても過言ではないだろう。
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