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転売された商品の背景とは……

最後に、僕が「転売されたであろう商品をなるべく買わない理由」を記したい。
 

僕は長らく、ゴミ屋敷の清掃、特殊清掃の現場を体験取材してきた。「とにかく部屋にあるもの全部処分してください」という依頼は多い。

要るもの、要らないもの、一つひとつ分けていくのは大変な手間なので、全部捨てて良いというのはいち清掃員としてはとても楽だ。

だが、ゴミを処分するには、お金がかかる。清掃費用で人件費の次にかかるのが、ゴミの処分代だ。全部、ゴミ処理施設に持ち込むのではなく、売れるものは売ってしまったほうが、一挙両得になる。

実際、かなりお値打ちなものが眠っている部屋は多い。翻訳業を長年されている人の部屋には、大量の献本が積まれていた。素人目にも、値の張りそうな本もあった。もし、時間が無限にあって、一つひとつを転売していったらかなりの儲けが出るはずだ。だが、実際に清掃会社はそんな悠長なことはしていられないので、全部捨てることになる。
 

一人親方で清掃業をやられている人の中には、時間をかけて売れるものは売ってしまう人もいるらしい。それはとてもエコだ。

それでもなるべくゴミを減らしたいときは、リサイクルショップの人に連絡して出向いてもらっていた。冷蔵庫や洗濯機などはもちろん、ブラウン管テレビや、壊れたプリンターなども持っていった。それなりにお金にできる方法があるらしい。

ゴミ清掃ではとても困る、バーベルなども金属としてのリサイクルができるため全部持ち去っていった。清掃会社としては、ただで持っていってもらっても助かるのだが、律儀にお金を払う業者も多かった。

全員がwin-winで何の問題もないのだが、僕はそれらの家具や本がどこに置かれたか知っている。それらはゴミ屋敷の中や死臭漂う事故物件の中に置かれていたものだ。その様子を見ていると、中古品を買う気も失せてしまう。
 

 
大手古本屋に行ったときに、一冊一冊トレペで包まれている保存状態のよいレアな本がズラーッとセールコーナーに並んでいるのを見ると、

「ああ、持ち主が亡くなって、全部古書店に流れてきたんだな……」と予測がつき、寂しい気持ちになる。

冷蔵庫や洗濯機も、中古だととても安く買える。僕は大阪の西成に家を持っているが、リサイクルショップでは非常に安い値段で家電が売られている。だが、やはり買う気は起きないのだ……。

転売にも、さまざまな種類があり、すべてが上記の例に当てはまるわけではないけれど、「人に迷惑がかかる転売」「人に嫌われる転売」はやめておこう。

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村田らむ=文・写真 池田裕美=編集

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