OCEANS

SHARE

Q.動物や昆虫にもときめく感情があるのでしょうか?

多分、人間に近い感情は持っているのではないでしょうか。

とても難しいんですが、ときめきに近い感情はあるような気がします。例えば犬は、飼い主が遊んでくれそうな時尻尾を振って喜びますよね。餌をくれそうと感じると、すり寄ってきます。あれはときめきのような感情なんじゃないかな。

犬以外でも、餌や配偶者を見つけた生物は背筋が伸びる、息が荒くなるなど動きが変わります。サメは激しく泳ぎ出すことも。明らかに活発になる生物が多いんです。あの行動は多分、人間で言う「ときめいている状態」に近いと思います。
Q.「ときめく」を言語化すると?

生存と繁栄のチャンスをものにするための感情です。

人間以外の生物が、餌や配偶者を目の前にしてスイッチが入る。それを「ときめき」だと仮定すると、それは「生存と繁栄のチャンスをものにするための感情」ですよね。人間のときめきは必ずしも食欲や性欲に結びつかないとしても、もしかしたら人間も生物と同じ理由でときめいているのかもしれません。

人間は社会性の生き物です。個人だけの生存と繁栄を考えていると成り立ちません。いろんな人が、いろんなものに興味関心を向けて調べることで技術や知識が蓄積されてきて、今の繁栄した社会ができたのだとしたら「ときめき」は、人類が発展しながら生き続けるために欠かせないものということになります。
Q.「ときめき」の先に何があるの?

ときめきを追求した先に、今の僕の活動があります。

実家が古書店だったこともあり、幼い頃から生物関連の本をたくさん読んでいました。そしていつか僕もこんな本を書きたいと夢見ていました。その頃の夢が今叶っているのは、ときめきを追求した結果かもしれません。追求とは、好きだと感じた対象にもっと大きなときめきを求めること。僕は生物を見るだけでは飽き足らず、さらに深く知りたいと思ってしまいます。そのための手段のひとつが食べることです。

魚を食べる場合、まず身をさばきます。それは解剖と同じこと。解剖してお腹の中はどうなっているのか、筋肉がどうついているのかなどを観察します。実際に口に入れると、舌は化学物質を感じるセンサーなので、味から多くの情報を得ることができます。例えば、鯉、フナ、ドジョウなどの川魚と、スズキやタイなどの海の魚、どちらも白身魚ではあるけれども、味が違うので食べれば川魚か海の魚かわかります。

しかしブラックバスは川魚なのに海の魚の味がするんです。なぜかというと、ブラックバスはもともと海の魚だったから。それが川に入り込んで、閉じ込められてしまい川魚になりました。ブラックバスの味には、進化の過程や歴史の一面が現れているんです。また、都会のあまり水が綺麗ではない場所に住んでいるブラックバスは臭くなります。現在住んでいる環境も食べることで推測できるんです。そうやって興味を突き詰めていくことが、今の自分をつくっています。

不用意に触ると強い力で噛みつかれる可能性があることから危険生物と言われているワニガメ。

不用意に触ると強い力で噛みつかれる可能性があることから危険生物と言われているワニガメ。



4/4

次の記事を読み込んでいます。