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例えるなら“心地良き安全靴”

1980年代初頭、パンクに憧れる青少年の足元は安全靴だった。一説によると、イギリスのミュージシャンがドクターマーチンの編み上げのブーツを履いている写真を見た慌てん坊さんが、安全靴がクールだ! と勘違いしたらしい(諸説あります)。

実際、働く人の味方である安全靴はパンクの精神に重なるような気もするし、飾りけのない道具っぽい佇まいは、パンクミュージックのシンプルな音とも相性が良かった。

しかしですねぇ、安全靴は靴ズレがひどくて、おまけに重くて歩きにくいことから駅の階段で何度コケそうになったことか……。ということを思い出したのは、三菱のトライトンが信じられないくらい快適だったからだ。

乗り心地にゴワゴワ感はないし、ディーゼルも滑らか。それでいながら、悪路走破性能や堅牢性、積載性能は世界の現場で高く評価されるホンモノなのだ。言ってみれば、スニーカーのように気軽に履ける安全靴なのだ。

しかも外観デザインは、「自分、不器用ですから」という武骨さと、イマ風のSUVテイストが絶妙にバランスしている。

これならパンクスだけでなく、その対極に位置したプレッピーやディスコ派まで、幅広くフィットしそうだ。
モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーのライター/エディター。USB端子がない愛車シトロエンC6(2010年型)でスマホの音楽を聴くときにはFMトランスミッターを愛用。最新型に替えたら音質が5倍向上、3480円でQOLが爆上がりしたとか。



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