最大400万円を支給! 福島は夢に挑戦しやすい
南相馬では“馬”が身近な存在。「相馬野馬追」といった有名な神事があり、馬が道路を歩く風景や軒先に馬を飼っている家庭もあるほど。
長年過ごした地元を離れ、福島に移住したことについて「いいことしかない」と話す平岡さん。福島県が実施している移住支援制度を活用することで起業をスムーズに行えたのも良かった、と当時を振り返る。
「福島県12市町村起業支援金といって、移住して事業を興した人に対し、補助対象経費の4分の3以内、最大400万円を支給してくれる制度があるんです。こちらで会社を立ち上げるときに、その補助金を使わせていただきました。
福島県内だけで部品製造から組み立てまでの一貫体制を構築するという理想を形にするためには、資金的なハードルをクリアしていかなければなりません。ちょっとずつ時間をかけて、準備をしていくスタンスでいます」。
最後に、これから福島へ移住を考えている人に向けての想いを聞いてみた。
「物を売るビジネスは首都圏だとハードルが高いかもしれませんが、この地域はコストもかかりにくい。今はオンラインで物が売れる時代ですから、これは大きなメリットです。
自分のブランドを立ち上げたいという人たちは、ぜひ福島に目を向けてみてください。互いに切磋琢磨しながら色々なアイデアを実現できたら、今よりもっと時計業界が盛り上がって面白くなるはずです。
私自身も、次の世代が参入しやすいような土台づくりを進めていこうと思っています」。
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機械式時計は、巻き上げたゼンマイがほどける力を動力源に、複雑に組み込まれた内部の歯車を動かすことで時間を刻む。
地方移住への想いが高まっているのなら、まずは一歩、踏み出してみること。夢を形にする平岡さんの時計が、そう教えてくれているような気がした。