担架で運ばれたアメフト選手の屈辱的な過去
――アメフトをやる頃には、虚弱体質は改善されていたんですか? 小児喘息は基本的に成人すれば消える症状なんです。だから、大学生になる頃にはたまに発作が出る程度でした。でも、体型がガリガリなのは変わらずで。
アメフトの場合、カロリーをしっかり取って当たり負けしない身体を作る必要があるのに、当時の私のトレーニングはどちらかというとボディメイク寄りでした。体型管理のために食事を摂生したりして、体重の上げ下げを繰り返していたんです。
それが仇となり、ある日、良からぬ結果を招くことに……。
――というと? アメフトの試合中に足を骨折しちゃったんですよ。
――食事の摂生が原因なんですか? それもあったと思います。不謹慎な言い方かもしれませんが、アメフトって体当たりでぶつかったら、どこかで「やってやったぜ」って威張るような競技なんですよ。だから骨折して担架で運ばれる自分の姿は非常に屈辱でした……。その瞬間にスイッチが入ったんです。
――肉体改造のスイッチですか? そうです。アメフト部にもストレンスコーチがいて、ビッグ3(ベンチプレス、デッドリフト、スクワット)を中心に週3回はトレーニングはしてたんです。パフォーマンスアップのための自重メニューも取り入れていました。
でも、それだけじゃ足りない。もっと設備の充実したところに行こうとトレーニングジムへの入会を決意しました。
担架で運ばれた悔しさがふつふつと燃えたまま、松葉杖でジムに行きましたね。到着する頃には手の平の皮が剥けていたのを覚えています(笑)。
――ジムではパーソナルトレーナーに付いてもらうことに? はい。当時はまだパーソナルトレーナーは知る人ぞ知る存在で、今ほど数もいませんでした。たまたま担当してくれた女性トレーナーは海外でも名の通っていた人で、僕に必要なメニューを作ってくれたんです。
この日を境に体がみるみる変わりましたね。ひと冬で体重は10kgも増え、82kgになりました。
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