常連たちと一緒に取り組む町づくり
「ここ数年で、月に1回来てくれた人が週1という具合に頻度が上がり、さらに地元以外からもお客様が来てくれるようになった」(小杉湯副社長の関根江里子氏)
なお、ここまで至るには、小杉湯だけではなく、小杉湯の常連、ファンがいっしょになって取り組んできたそうだ。小杉湯は代表取締役の平松氏、副社長の関根氏、正社員3名の体制。多くの人や企業との連携が欠かせない。
例えば小杉湯に隣接するカフェ・コワーキング施設「小杉湯となり」の企画・運営を行っている「銭湯ぐらし」は、小杉湯の常連など40名で構成される企業。
隣接する「小杉湯となり」はもと風呂なしアパート。リノベーション後、シェア施設として運営されている(撮影:梅谷秀司)
同社は「銭湯から始まる町づくり」を掲げ、近隣の空き家を「銭湯つきアパート」として再生させたり、マルシェや商店街の店とコラボイベントを開催するなどの事業を行っている。結果として、地元が活性化され、小杉湯のお客も増えるというわけだ。
「私たちが仕掛けるというよりは、不思議なことにお客様がこちらに近づいてくる。いっしょにやりたいと言ってくれ、イベントなど新しい取り組みを始めることが多い。常連やファンの皆様がやりたいことを実現してきた結果、小杉湯の今がある」(関根氏)
物販で人気の高いオリジナルTシャツ(撮影:梅谷秀司)
そういう関根氏自身、銭湯ファンの一人。しかし2年前まではまったく畑の異なる金融関係のスタートアップを運営していた立場だった。会社や株主の事情から、自分が提供するサービスや商品に真正面から向き合うことが難しく、事業や会社、社会について考えるようになった。「価値のあるものを経営したい」と思ったのが、銭湯の運営に関わるようになった動機だそうだ。
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