「日常に潜む社会の闇」とは…… よくある自己啓発セミナー、しかも会社で推奨されて参加するようなセミナーでさえ、実は多くの落とし穴が潜む。
ルポライターの村田らむさん自身の潜入経験も交えて、自己啓発セミナーの裏側を教えてもらおう。
案内人はこの方! 村田らむ●1972年生まれ。ライター、イラストレーター、漫画家。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海など、アンダーグラウンドな場所への潜入取材を得意としている。キャリアは20年超え、著書も多数。自身のYouTubeチャンネル「リアル現場主義!!」でも潜入取材や社会のリアルを紹介している。
“自己啓発”とは実際何をするのか?
自己啓発セミナーと聞いても、何のことかよくわからない人も多いだろう。『大辞林』で調べてみる。
じこけいはつセミナー【自己啓発セミナー】
参加者が自己を再発見したり、自己の意識を変革することを目的に開催される講習会。〔カルトの勧誘手段として開催される場合がある〕
出典:『大辞林』
さらにわからなくなる。カルトの勧誘手段……というのは気になるが、肝心の「何をするのか?」というのがわからない。
自己啓発セミナーにもさまざまな種類がある。企業の社員向けに開催されるセミナーもあるし、自分を変えたいと思う人たちが集うセミナーもある。そして、まるっきりカルト宗教団体のセミナーもある。
1990年代には自らをサイババの弟子と名乗る自己啓発セミナーの主宰者が、「シャクティーパットする(頭部を軽く叩く)ことで病気を治すことができる」と主張して、最終的には脳出血で入院していた男性を連れ出して、死亡させた事件があった。死亡させたあとも4カ月以上シャクティーパットをし続けた。
逮捕された主宰者は、「被害者は生きていた。死亡したのは司法解剖したからだ」とのたまったという。この“成田ミイラ化遺体事件”はいかにもカルト団体らしい事件だ。
それでもまだ、自己啓発セミナーが何だかはわからない。
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