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ワイアット・ハーシーが感じた“シブヤ”



今回、ライブ・ペインティングが行われた場所はキャットストリート沿いにあるパタゴニア東京 渋谷ストア。その入り口脇に大きなキャンバスが設置された。



その前に立つワイアット氏の表情は、初日ということもあり若干緊張気味。しかし、描き始めてからは楽しげで、時おり表情に笑顔ものぞいた。



ネイビーの板の上を、白い線が軽やかに走り抜ける。その動きは大胆に縦横断をしたかと思いきや、その場にとどまり精緻な行動も見せる。時が経つにつれ、山や木が生まれ、上空を雲が流れる。太陽が燦々と降り注ぎ、山間から川が流れ出る。





彼が大切にしている自然が描かれたかと思いきや、数々の建物やビルも描かれていく。随所に挟み込まれるオレンジやブルーの色合いも見ていて心地いい。



徐々にあらわとなっていくデザインの輪郭。やがて、中央に描かれた建物に「Patagonia」の文字が記されていく。ご想像どおり、イベント会場である渋谷ストアを表している。



そして、その前の道路を、カラフルな衣服を纏った人々が弾むように歩く様が描かれる。自然と都会が一枚のキャンバスに落とし込まれたその作品は、彼の目を通して感じえた渋谷だ。



その過程を、道ゆく人々が足を止め、食い入るように見つめる。年齢も性別も関係ない。



そんな中、パフォーマンス中にツーリストらしき人と楽しそうに会話をする彼の姿があった。その光景を見るにつけ「作品を描いている最中に、通りすがりの人たちとコミュニケーションをとるのも楽しいんだよ」というインタビューでの彼の言葉を思い出す。

人の輪を生み、知らず知らずのうちに想いを繋いでいくイベントの意義を感じる瞬間でもあった。


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