過去の創造を学ぶことで新たなデザインソースが生まれてくるんです
「デザインをするうえで心がけていることは、創業時からミニに通底する創造的な考え方。それは「Heart Beat(高まる鼓動)」「Curiosity(好奇心)」「Responsibility(責任)」「Daredevil(大胆な遊び心)」の4つです。
細かくいえばほかにもたくさんの要素がありますが最低限、新たなもの創造をする際は、この4つの価値がミニと合致するかどうかを確認しながら作業を進めます。4つの価値を満たしていればどんな最新型にも適応できますし、そうすることでしっかりと新型ミニを構築することができるんです。
デザインや技術的なことよりも重要なのは、じっくりと取り組むこと。例えばミニの専属デザイナーはいますが、彼らは技術的には十分相応しいですが、これに加えて時間をかけてミニの哲学や世界観を理解することで、唯一無二のデザインとして具現化しています。
私もミニのデザイン担当になった際、最初の6カ月間はしっかりとミニの哲学を学びました。ミニを手掛ける際は、それが最も重要なことなのです」。
そして、日本の今のカーシーンについては「実に興味深いですね」と。
「例えば手の込んだカスタムをしていたりするじゃないですか。ちょっとエキセントリックに感じる人もいるかもしれませんが、私自身、それはそれでひとつの新たな作品を創造していると感じますし、細部にまでこだわっていてすごいなと思います。
先日、ボンネットをカーボンファイバー仕様に変えている車を見たときは驚きました。オリジナリティが素晴らしいです」。
オリジナリティや新たな創造という意味では、ミニは過去にポール・スミスと協業するなど、異業種とのコラボも積極的に展開している。
「同業社ではない分野の企業とコラボするということは、私にとってはもちろん、ミニにとっても良いことだと信じています。異業種とのコラボを通じ、我々は自分たちのブランドのポテンシャルに気付くことがたくさんあるので、チャンスがあればこれからもチャレンジしていきたいです」。
新たな環境に身を投じたり、大きなプロジェクトを手掛けることは怖くないのか訊くと「それはまったくないですね」と意に介さない。
「大きなプロジェクトだからといって、決して怖がることはありません。ただ、やるからには常にリスペクトの気持ちを持っておくべきだと考えています。
余計なトラブルは、相手を敬う気持ちがないときに限って起こるものです。だから逆に言えば、そこさえしっかりしていれば、怖がる必要もないということです。これはすべてのビジネスに当てはまることだと思います」。
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