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Q.〈蟹ブックス〉で働き始めたのはどうしてですか?

「10年前なら考えられなかった。だから、老化なのかもしれません」


昔は同じ場所に長時間いること自体が耐えられませんでした。実際に毎日違う街に行って、用もないのに喫茶店で過ごしたりして。だけど、40歳を過ぎてからはそういう気持ちがなくなったんです。ふらふらしていても楽しくないというか、面倒になっちゃって、同じ場所に長時間いるのも平気になってきた。これは心境の変化というより、あちこちウロウロするエネルギーが減っただけなのかもしれません。じっと座って店番ができるようになったのはそのおかげですね。

ちょうどその頃に、〈蟹ブックス〉店主の花田菜々子さんから声をかけていただいたんです。「辞めるスタッフの代わりにどう?」って。花田さんとは元々友達で、〈蟹ブックス〉にも頻繁に遊びにきていたんですが、本屋の仕事も面白そうだな、と思っていました。



本を注文したり、売ったり、お客さんと話したり、イベントを開催したり。正直、楽しいことをやっているだけであまり働いている感覚はないですね。楽しくやれているのは、店主の花田さんが自由にやらせてくれているからだと思います。

大きい組織にいると、他の人たちに合わせなくちゃいけなくて個人のペースを守るのが難しいですが、ここは小さいお店なので自分のペースを守りながら動けるのがラクですね。いい感じの空間を作って、そこにいろいろな人がふらっと遊びに来てくれる、という意味では、11年運営していたシェアハウスと似ているんですよね。ずっと続けていたことの延長にあるというか。

もともと本と本屋がすごく好きなので、店番をしながら、どんな本を仕入れようかなと考えたりするのは楽しいですね。好きなことと仕事がうまく噛み合ったのかな、と。




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