飲むと元気になるコーヒーや栄養ドリンクはビジネスパーソンの強い味方。しかし、頼りすぎは禁物です(写真:dejavu/PIXTA)
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら。 突然ですが、あなたは今、疲れていませんか?
医学博士で日本リカバリー協会代表理事である片野秀樹氏によれば、
疲労は熱や痛みと同じ、体からの警告です。
片野氏がこのほど上梓した
『休養学:あなたを疲れから救う』では、軽視されがちな「疲労」と「休息」について科学的な解説を加え、
「人はなぜ疲れるのか?」
「疲れても無理をして休まずにいると、人間の体はどうなるのか?」
「どんな休み方をすれば最も効果的に疲れがとれるのか?」
といった疑問に答えていきます。
コーヒーを飲むとどうして疲れが和らぐのか? 本書から抜粋・編集してお届けします。
疲労は病気につながるサインである
私たちは酸素を吸って生きていますが、酸素を吸うことで生じる、よくない副産物もあります。それが酸素ラジカルという活性酸素です。
活性酸素は細胞を傷つけます。傷ついた細胞を修復するためには修復エネルギーが必要になります。その修復エネルギーは何かというと、ATP(アデノシン三リン酸)です。
これはミトコンドリアでつくられ、われわれの体を動かす原動力となるガソリンのようなもので、ATPが潤沢にあれば、傷ついた細胞をすぐ修復してもとの状態に戻せます。
しかし体内のATPを使い切って枯渇してしまうと、修復ができない状態になってしまいます。そうするとさまざまな悪い影響が体の中に生じてきます。その1つが疲労です。
疲労を放っておくと、重大な病気を招く可能性もあります。「たかが疲労」ではありません。疲労は病気につながる重要なサインなのです。
ところが痛みや熱と違って、疲労については無視したり軽視したりする人が多いのです。疲労も体からの重大な警告なのに、無理をしてがんばってしまいます。
疲労は病気につながるサインであることを多くの人が見落としているのです。
体のどこかが痛むとき、あるいは明らかに熱があるとき、欠勤することをためらう人はあまりいないでしょう。
朝、会社に連絡して、「頭が痛いので休ませてください」「胃がキリキリするので、今日は休みます」「熱が39度あります」といえば、「ゆっくり休んでね」といってもらえるはずです。あるいは「痛みが治まらないようなら病院に行きなさい」と気づかってくれるかもしれません。
ところが「今日は疲れているので休ませてください」というと、一笑に付されてしまいます。
もし、「疲労感は体の発する危険信号である」ということが常識になれば、「疲れているなら今日は休んでおきなさい」という話になるはずです。
『休養学:あなたを疲れから救う』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら)
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