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1℃で大違いの入浴効果



――お風呂研究をされて25年の早坂先生ですが、お風呂に関心を持ったキッカケは?

内科医をしている関係で、高齢者の訪問入浴をしている看護師から「血圧はいくつまでならお風呂に入れてもいいでしょうか?」とよく聞かれていました。

調べてみると、この分野の研究があまりされていないということが分かり、最初は必要に迫られて始めたといったところです。

――30~40代に耳寄りな入浴の効能や、長年の調査結果からわかった意外なデータなどがあれば教えてください。

私がおすすめする正しい入浴法を実践している人は、便秘、汗かき、薄毛、不眠、冷え症などの悩みを感じている人が、ほかの入浴法をしている人より少ない傾向にあるという調査結果が出ています。

――おすすめの“正しい入浴”とは?

基本の入浴法は、40℃で10分間、肩までつかる全身浴がおすすめです。40℃というのは、リラックスの神経、いわゆる「副交感神経」を高める温度なんですね。血流が良くなり自律神経が整います。

――40℃以上だと効果はどうなりますか?

42℃以上になると、逆に交感神経のスイッチが入ってしまってカラダが興奮してしまいます。つまり、日中に皆さんが働いている状態と同じように、交感神経のスイッチが入ったままの状態になってしまうわけです。また、高血圧になる傾向があります。

――逆に38℃以下のぬるめのお湯ではどうでしょうか。

入浴は体が温まることによって血管が広がり、血液の流れが良くなることで効果が出ます。そのためにはある程度の温度が必要なんですね。ぬるすぎても血管は広がりません。

体温よりも高い温度である必要があるので、冬場だと38℃ではぬるすぎて体温の十分な上昇効果を得られません。

――10分間がおすすめの理由は? 

短すぎると血流の改善になりませんし、時間が長すぎるとのぼせてしまう。ちょうど良い時間が10分というわけです。

――入浴によって得られるメリットを教えてください。

まずは仕事の疲れを癒やすリラックス効果、睡眠効果がいちばんです。近年の研究ではうつ病の予防にも役立つことが分かってきましたし、薄毛の悩みを持つ人の割合も、正しい入浴を習慣にしている人は少ない傾向にあります。

薄毛の原因は結局、頭皮の血流が関係してくるわけですから、それを改善するという点では確かに期待できると考えられます。


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