連載「大人がハマる名作ゲーム」とは…… 誰もが知る国民的格闘ゲームの最新作として、昨年登場した『ストリートファイター6』。
普段は対戦型の格闘ゲームはあまりやらない鉄塔さんもハマった理由は、ビギナーでも楽しめるある操作があったからだという。
案内人はこの方! 鉄塔(賽助)●1979年生まれ。作家、ゲーム配信者。ゲーム実況グループ「三人称」のメンバー「鉄塔」として活動する傍ら、「賽助」の名前で小説、エッセイを執筆。主な著書に『今日もぼっちです。』(ホーム社)。ゲーム実況動画などの配信を行うYouTubeチャンネル「SANNINSHOW」は登録者数62万人。送電鉄塔好きが高じて活動名になる。
練習必須で敷居の高くなった格闘ゲーム
2023年に最もゲーム実況界隈を盛り上げたタイトルといえば、『ストリートファイター6』(以下、スト6)ではないかと思います。
プロ格闘ゲーマーだけではなく、ゲーム実況者、ストリーマーやVtuberの方々を巻き込みさまざまな大会が企画され、そのどれもが盛り上がっています。まさかこんな時代がくるだなんて思ってもみませんでした。
三人称のプレイ動画はこちら!
今や格闘ゲームの代名詞でもある『ストリートファイター』シリーズですが、1987年にゲームセンターで稼働していた初代から現在にいたるまで、たくさんのシリーズと派生作品が発売されています。そのなかで、いつしか格闘ゲームそのものが、とても敷居の高い存在になっていった気がします。
その理由はいくつかあるとは思うのですが、いちばんの決め手は“個人練習”が必要であるということだと思います。
格闘ゲームの多くは必殺技を出すために「コマンド入力」というものをしなければなりません。
例えば、気の弾を飛ばして相手にダメージを与える「波動拳」と呼ばれる技は、自分のキャラクターが右側を向いている状態で方向キーを「下」、「右下」、「右」と入力した後に「パンチボタン」を押すことで発動できますが、これが初心者にはなかなかできません。
さらに、回転しながらアッパーを放ち、飛んできた相手に対して無類の力を発揮する「昇竜拳」は、「右」から「下」、そして「右下」と入力しなければならないという悪魔の所業。
何度も何度も練習してようやく出せるようになるのですが、いざ対戦となると、頭では分かっていても手が追い付かず、ガチャガチャやった結果なぜか波動拳が出たけど相手は飛んでいたのでこちらが大ダメージを受けてしまう……。
昇竜拳をしっかりと当てるためにはほかの連携技を習得する必要があり、さらなる「練習」が必要になって……と、「気楽にゲームをする」ものではなくなっていきます。
そのキャラクターの代名詞である技を使うまでの事前準備が必要なんですね。
そして、格闘ゲームをする人たちはその練習の成果が積み重なっていき、普段格闘ゲームをしない人たちとの差がついていき……結果、いわゆる“格闘ゲームプレイヤー”以外はあまり遊ばない作品となっていました。
あくまでも個人的な意見ですが、スト6が発売されるまでは、格闘ゲームは敷居が高いものであり、プロゲーマーがやるもので、空手やボクシングと同じく「試合を見て楽しむもの」になっていました。
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