初期であれば1度の投薬で完治できる特効薬も
――梅毒の治療方法は? 海外の治療は、ペニシリンGの筋肉注射ですが、日本は、ペニシリン系の抗菌薬の内服治療が主流で、2〜4週間服用します。
2019年に世界標準治療薬であるペニシリンG筋注製剤(ベンジルペニシリンベンザチン)「ステイルズ」(ファイザー製薬)の国内製造・販売が承認されたことで、2022年5月から当クリニックでも投与をスタートしました。
――ステイルズとはどんな薬なの? 「ステイルズ」は、1度の注射で治療をすませられる活気的な梅毒の治療薬です。けれども、アナフィラキシーなどの副作用を起こす可能性があるという報告もあり、長らく日本では治療に使用されていませんでした。
当クリニックで「ステイルズ」の投薬治療を行っていますが、今のところアンフィラキシーなどの副作用を起こしたケースはありません。投薬を希望する場合は、医師に相談してみてはいかがでしょう。
――梅毒を予防するためにできることとは? 決して昔の病気だと軽視せず、またネットの情報に振り回されないように、梅毒など性感染症に関する正しい知識を持つことが大事です。HIVの感染が騒がれたときは、コンドームの装着を心がけられていましたが、最近は梅毒やHIVなどが軽視される傾向にあることも感染拡大の要因だと思っています。
また、コンドームをつけることも性感染症予防には有効です。けれども、梅毒の場合はコンドームが覆われない部分の皮膚などでも感染する可能性があるためコンドームを使用しても100%予防できるわけではないことも理解しておきましょう。
不安なときは、1人で抱え込まずに専門の医療機関に相談することが、治療の近道であり、感染拡大を防ぐ方法です。
まとめ
梅毒を予防するには、正しい知識と、不安を感じるような性行為を慎むしかない。特効薬があるからといって、軽はずみな行動を取ることは、自分だけでなく家族を不安に陥れるということを肝に銘じておこう。