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③ 海鮮と郷土料理を味わうなら隣町の「田舎小屋」



最後は金沢から少し離れた隣町、野々市市にある「田舎小屋」。人気の大衆酒場で、どの料理もハズレがない。

刺身や焼き魚、煮込み料理などが絶品で、地元人もいつも喜んでいる。元気なスタッフの挨拶に出迎えられ、木を基調とした温かみのある店内はまさしく田舎小屋という名前に相応しい。
 

ここに来たら必ず食べてほしいのは「白子天ぷら」(880円)だ。口に入れた瞬間まるでチーズかと思うくらい濃厚で美味しい。天つゆに付けても良いしそのまま食べても白子の旨みがダイレクトに口の中に広がる。



「はす蒸し」(480円)と「じぶ煮」(680円)は石川県の郷土料理。はす蒸しは、すりおろしたときの粘りが強く身が肉厚な加賀れんこんを使っている。なんと中にはうなぎが入っていて、宝物を見つけたときの少年のような気分であっという間に完食してしまった。

じぶ煮は鴨肉やすだれ麩、季節の野菜などを煮た料理。鴨肉には小麦粉がまぶされていて、とろみがあるのが特徴だ。わさびが添えられていて、出汁の味とよく合う。このような郷土料理が気軽に楽しめるのが、僕がこのお店を気に入っている理由のひとつだ。



お酒を飲む方は「ソフトシェル」(780円)もおすすめだ。脱皮直後の蟹のことで、殻が非常に柔らかく殻ごと食べることができる。見た目で「何だこれ!」と驚きながら、食べ進めるうちに揚げたソフトシェルと、かかっているスパイスの虜になってしまう。これはハマる一品だ。
田舎小屋 
住所:石川県野々市市本町614-43
営業:17:00〜23:30(23:00LO) 日曜定休
イタリアにいた頃は肉料理を食べることが多かった僕は今、最後に食べた肉料理がパッと思いつかないほどの変化に驚いている。日本の魚料理が数え切れないほどある中で、それぞれの地域の調理法もあって、「魚」を活かす天才の国に住むと本当に飽きない。

日本から一旦離れると外で魚を食べたいとは思わない。里帰りのときも、帰って数日経ったら日本料理が恋しくなる。

石川県の美味しい料理を食べながら令和6年能登半島地震の応援もできる。最高に楽しんでもらえば石川県民としてうれしい。


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マッシ=写真・文 池田裕美=編集

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