レザー・アッパーをデフォルトに
「ワンスター」にはルーツとなるモデルがある。69年にリリースされた「スムース レザー オールスター」がそれだ。そう、のちに「スター&バーズ」と名を改めるモデルであり、かつての日本では「ジャックスター」の愛称で親しまれたモデルである。
それまでのバスケットボールシューズはキャンバスがデフォルトだった。これに待ったをかけたのが競合ブランド。そのブランドは68年に開催されたメキシコオリンピックにおいてレザー製のバスケットボールシューズをデビューさせた。いうまでもなく、プロダクトとしてのポテンシャルを追求した結果だった。この流れに乗り遅れるまいとスニーカー業界には開発競争が巻き起こる。そうして完成したのが「スムース レザー オールスター」だった。
ファーストモデルはセメント製法で仕立てられていた。より耐久性の高いバルカナイズ製法は熱と圧力により成型する。このプロセスに革が耐えられなかったからだ。セメント製法のチョイスは苦肉の策だった。障害を克服し、バルカナイズ製法の「スムース レザー オールスター」がローンチされるのは70年代前半のことだ。
1970年の「スター&バーズ」のカタログ
「スムース レザー オールスター」はアイコンのスターを挟むように2本のラインが入ったデザインも特徴だ。それは単なるデザインではなく、プレイヤーの激しい動きをサポートする役割を担っていた。
バルカナイズ製法をものにした結果、そのラインに頼らずとも足元をしっかり支えることが可能となり、かくして「ワンスター」誕生の機が熟したのである。
あらためて「ワンスター J スエード MT」を手にとれば、そのマルチカラーはプリズム越しの星の光にみえて、なるほどアニバーサリーモデルにうってつけのあしらいだ。
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