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オプションをつけてでもチェックすべき数値

――他に気にした方がいい数値はありますか?

これは健康診断で検査項目がどれぐらいあるかにもよります。先ほどのガンマGTPやAST、ALTは、ほぼ検査項目に入っていますが、例えば膵臓の値を見るアミラーゼやリパーゼは、オプションでつけないと検査しない場合が多いですね。

――なるほど。じゃあ酒飲みはオプションをつけた方が安心ということですね。

ただ、膵炎の場合は自覚症状があります。特に急性膵炎は七転八倒するぐらいの痛みだと言われていますので、医者に駆け込まない人はまずいません。なので、そこまで神経質にならなくても大丈夫だと思います。ただし一度、急性膵炎になった方は要注意です。

というのも完治していなくて、慢性膵炎を起こす場合があるんです。たまにお腹がシクシク痛んだり、背中の方がちょっと痛むけれど、病院に行くほどではないと放っておきやすいんですね。ところが検査をすると引っかかる。

膵炎もアルコールに限らず、いろんな要因で起こるのですが、大量にお酒を飲む方にはよく見られる病気なので、注意してほしいですね。

もうひとつお酒を飲む方に見てほしいのが、血糖値やヘモグロビン値です。



――何が分かるのでしょうか?

糖尿病です。お酒だけだと体に悪いからと、おつまみを一緒に食べたりする方がいらっしゃいますよね。ただでさえお酒はカロリーが高いのに、さらに高カロリーのおつまみを食べて、なかには締めにラーメンまで食べる方もいる。成人男性の1日の摂取カロリーは2000キロカロリーと言われていますが、これだけでカロリーオーバーになってしまいます。

――糖質が少ないお酒を飲めば大丈夫ということでしょうか?

いえ、カロリーが高いのが問題なんです。簡単に説明をしますと、体内に入った糖はグルコースとして血液に送り込まれ、インシュリンの分泌によって細胞内に取り込まれてエネルギーとして活用されます。

これによって血糖値が一定に保たれるのですが、アルコールが入ると、アルコールを先にエネルギーとして使うため、グルコースが余ってしまうんです。

またアルコールはインスリンの分泌も抑制します。そのため、血液中にグルコースが滞るようになる。これにより引き起こされるのが2型糖尿病で、大量飲酒をされる方がとても多いんですね。

ちなみに急性膵炎を繰り返すと、インシュリンの分泌圧を行うランゲルハンス細胞が破壊されて、膵性糖尿病になる可能性もあります。ここまで進行するともう治りません。

――治らないんですね……。

ただ、糖尿病だと診断をされても、お酒をやめたら、実は糖尿病じゃなかったという人もいるんです。これはアルコールを飲み過ぎて血糖値が高い状態が続いていた、アルコール性高血糖症という病気で、お酒をやめれば治ります。だからやっぱり早めに気づくことが大事ですね。


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