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「クラウンスポーツはシリーズ中、最もスポーティなキャラクターであるため、サスペンションを調節しています。後輪操舵システムとあわせて、軽快なコーナリングを実現する少し硬めの設定です」

これはサスペンション担当のエンジニアの言葉だが、実際に乗ってみても、同じタイミングで体験したセダンより足まわりにしっかりした印象を得た。別の言葉でいうと、少々硬めで、カーブでの車体のロールもより小さい。

大型モニターを2つそなえ機能性が高いダッシュボードは、左右で色分けをしたデュアルコクピットのテーマを採用(筆者撮影)

大型モニターを2つそなえ機能性が高いダッシュボードは、左右で色分けをしたデュアルコクピットのテーマを採用(筆者撮影)

前席シートはやや重厚すぎる印象もあるが座り心地はよい(筆者撮影)

前席シートはやや重厚すぎる印象もあるが座り心地はよい(筆者撮影)


エンジンはよく回るけれど、3000rpmを超えるとかなり存在を主張する……というか、しすぎる(笑)。なので、クラウンスポーツで快適なドライブをするには、比較的ゆっくりとアクセルペダルを踏み込むよう心がけるといい。

アクセルを踏み込むスピードに関係なく、ゆっくり踏み込んでいってもトルクがもりもりっと出てくるのがわかるし、そのとき車速は十分に上がっている。周囲の交通に後れをとるようなことはない。

操舵感は、やや重め。最近のトヨタ車と共通している。でも、後輪操舵システム、サスペンションシステム、それにカメラを使って路面の状況を判断し操舵力などを変えていくPDA(プロアクティブドライビングアシスト)が連携して、期待以上に“ファン・トゥ・ドライブ”を感じられる。

GRではない“適度な範囲”のスポーティ

トヨタの開発陣によると、「HEVが好きなら、このあと登場するPHEVこそ本命ともいえるモデルなので、ぜひ楽しみにしていてほしい」とのことだ。

今回、試乗できなかったPHEVモデルの内装はよりスポーティな仕立て(筆者撮影)

今回、試乗できなかったPHEVモデルの内装はよりスポーティな仕立て(筆者撮影)


本当にスポーツドライビングを楽しみたい人は、クラウンではなく、GRブランドのクルマを選ぶほうがいいかもしれない。クラウンスポーツは「クラウンというブランドの範囲内でスポーティに仕上げたモデル」(開発者)という注釈がつくように、適度な範囲で運転が楽しめるモデルだ。

クラウンスポーツは、運転していて安全マージンが確保されていることが感じられる。それが“適度な範囲”なのだろう。

エンジントルクやアクセルペダルの重さ、操舵感など、クルマから“もっと速く走れ”とあおってくるようなことがないのである。

一方、クラウンスポーツを街で見かけると、なかなか目立つ。これまでのクラウンは、街に溶け込むようなアンダーステーテッドなところを特徴としていたが、そこは違うのである。

590万円という価格は、所有欲を満たすスタイリングや“ファン・トゥ・ドライブ”な走りを考えると、説得力のあるものではないだろうか。



小川 フミオ=文
東洋経済オンライン=記事提供

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